日本を代表するブランド米「コシヒカリ」ってどんなお米?

日本を代表するブランド米「コシヒカリ」ってどんなお米?

日本国内で最も栽培されているコシヒカリは、さまざまなブランド米の祖先でもあり、日本を代表するお米です。この記事では、コシヒカリの味の特徴や歴史、どのようなおかず、調理方法が合うかなどについて紹介していきます。

コシヒカリは日本人好みの味で人気

コシヒカリは日本国内で最も作付けされているお米です。作付け割合は全体の33.7%と他を圧倒しており、1979年以降連続で首位を守り続けています(米穀安定供給確保支援機構の「2021年度産水稲の品種別作付動向について」)。北海道と沖縄を除く全国各県で育てられており、その多くが高い評価を得ているのも特徴です。知っているブランド米の名称を聞かれて、「コシヒカリ」を最初に思い浮かべるという人も多いのではないでしょうか。

コシヒカリのおいしさの秘密

コシヒカリは、強い旨みと甘み、もっちりとした粘り気、炊きあがったときの艶やかな美しさが特徴のお米です。お米の主成分である澱粉は、アミロースとアミロペクチンの2種類で構成されており、一般的にアミロース含有量が少なくアミロペクチンの多いお米は、日本人に好まれるおいしさだとされています。コシヒカリは、このアミロースの含有量が少ないお米の代表格です。通常、稲の穂が出て刈り取るまでの登熟期の気温が低いとアミロースの含有量は高くなるもの。北陸地方で生まれ、登熟期の気温が低いコシヒカリですが、長年にわたる品種育成によってこのポイントを克服しています。また、コシヒカリは気候によって品質が左右されにくいことも特徴です。貯蔵期間にも品質が落ちにくいため、全国各地で作られるようになりました。

コシヒカリはさまざまなブランド米の祖先

コシヒカリは味や品質が良いことから、さまざまな品種とかけあわされ、多くのブランド米の祖先になっています。2021年の日本国内の品種別水稲作付け割合を見てみると、2位のひとめぼれ、3位のヒノヒカリ、4位のあきたこまち、5位のななつぼしのすべてがコシヒカリをルーツに持つ品種です。コシヒカリは日本のお米の味のベースとなっているといっても過言ではないでしょう。

コシヒカリの歴史

コシヒカリはさまざまな苦難を乗り越えて開発されたお米です。ここからはコシヒカリの歴史をひもといていきます。

コシヒカリの開発が始まったのは戦時中

日本を代表するお米「コシヒカリの開発」が始まったのは1944年、太平洋戦争の最中のことです。味、品質が良く収穫が期待できる新品種の開発を目的に、新潟県農事試験場で「農林22号」と「農林1号」の交配が行われました。「農林22号」は籾の色がよく、稲の天敵であるいもち病に強い品種です。「農林1号」は、品質と味が良く収穫量も多かったことから戦前は主力になっていた品種でした。この交配によって生まれた1代目の種子は、戦争の影響で栽培にこぎつけることができず、保存。戦後になってようやく栽培が始まり、選抜が進められました。

福井地震の発生

選抜されたもののうち、一部か育成されていた福井県では、1948年マグニチュード7.1の福井地震が発生。試験場も甚大な被害を受けましたが、幸いにも育成を行っていた株には被害がなく、その後も選抜が続けられます。そして、「越南17号」や「越南14号」などが生まれました。この「越南17号」がコシヒカリの祖ですが、当初は全く期待されていない存在でした。「越南17号」はいもち病に弱く、稲の長さが長くて倒れやすいという弱点があったからです。

弱点が多かった「越南17号」の長所とは

全国22県の試験場で行われた試作でも「越南17号」の弱点が明らかになり、味や品質が良いものの育てにくいという評価を受けてしまいました。一方で「越南14号」は、いもち病に強く、籾の色や味、品質がよかったため、期待を集めます。ますます旗色の悪くなる越南17号を救ったのは、「倒れても稲がほとんど痛まない」「倒れても穂が実る」という特徴でした。当時の稲は倒れてしまうと米の価値が下がるほど痛むのが常だったため、この特徴は珍しいものだったのです。

「越の国に光り輝く米」コシヒカリの誕生

倒れても実る「越南17号」は、新潟県の強い後押しもあり、「農林100号」という番号で新品種として正式に登録されます。品種名は、カタカナ5文字以内の美しい日本語であることが条件だったため「越の国(北陸)に光り輝く」という意味を込めて「コシヒカリ(越光)」と命名されました。

新潟県で開発が始まったコシヒカリは戦争や地震という困難を乗り越え、栽培のしづらさは技術によってカバーできるという信念のもとに育成が続けられ、品種として認定されました。その後、全国各地で生産されるようになったのは、追肥時期の目安を数値化するなど、栽培技術を新潟県内の農業者に普及し、安定して生産できるように研究が続けられた結果といえるでしょう。昭和の初め頃まで評価が低かった新潟米ですが、コシヒカリの広がりと共に評価を上げ、新潟県は米どころとして名高い地域になりました。

コシヒカリBLって何?

コシヒカリBLとは、コシヒカリを改良し、いもち病への抵抗性を高めたブランド米です。従来のコシヒカリはいもち病にかかりやすいという弱点があり、これを克服するためには農薬を使って栽培する必要がありました。新潟県では農薬の使用を減らし、環境に配慮する目的でコシヒカリの改良を重ねて「コシヒカリBL」を開発。県内に一斉導入しました。BLとはBlast Resistance Lines(ブラストレジスタンスラインズ)の略で、いもち病に対して異なる抵抗性を持つことを意味しています。

コシヒカリBLは遺伝子組み換えで開発されたものではなく、従来の育種方法を用いて15年の期間をかけて改良されました。コシヒカリ同様の強い粘り気が特徴で、品質や食味がコシヒカリと変わらないことから、コシヒカリとして販売されている場合もあります。おいしいお米を品評する「第18回お米日本一コンテストinしずおか」では、コシヒカリBLがランクインしており、従来のコシヒカリ同様、日本各地で作られるようになる日も近いかもしれません。

コシヒカリはどんな料理に合う?

コシヒカリは味の存在感があるお米です。献立を考える際には相性を考えるとよりおいしく味わうことができます。

コシヒカリと相性の良いおかず

コシヒカリは旨みが強いため、味の濃いおかずにも負けることなくお米のおいしさを実感できるお米です。おすすめの料理は、ステーキ、ハンバーグ、焼肉、トンカツなどの濃い味付けのおかず。おかずとコシヒカリが互いに引き立て合って濃厚な味わいを楽しめます。コシヒカリは、お米の味だけを堪能したいときにもうってつけのお米で、梅干しや海苔、漬物などとも相性が良いです。

コシヒカリと相性があまり良くないおかず、調理法

コシヒカリの特徴であるもっちりとした食感や粘り気の強さは水分を多く含むところからきています。組み合わせによっては、この水分量の多さが「もっちり」ではなく「べたべた」と感じてしまうことがあるので注意が必要です。例えば、チャーハンなどパラっとした食感に仕上げたい料理とは相性が良くありません。ちらし寿司なども、酢飯がべたっとした食感になってしまい、おいしさを損なってしまう可能性があります。また、繊細な味付けや薄味のおかずの場合は、コシヒカリの風味が主張しすぎてしまう場合があります。

お弁当に入れてもおいしい

コシヒカリはアミロースの含有量が少ないため、冷めても硬くなりにくいのが特徴です。もっちりとした食感や強い風味は冷めても残るため、お弁当に入れたり、おにぎりにしたりするのにも適しています。また、アミロースの含有量が低いお米は、古くなって食味の落ちたお米に入れるともっちりとした食感と旨みを復活させることができます。粘り気の少ないお米や古くなったお米が残っているなら、コシヒカリを混ぜて炊くとおいしく味わうことができるでしょう。

コシヒカリの有名な産地

コシヒカリは日本各地で作られていますが、特に有名な産地は新潟県です。新潟県はコシヒカリを最初に県の奨励品種として定めた地域であり、開発や改良を熱心に行ってきました。新潟県の中でも「魚沼」「岩船」「佐渡」の3つの産地で作られたコシヒカリは特に有名で、一般的な新潟県産コシヒカリと別に区分されて流通しています。それぞれの地域の特徴を説明します。

魚沼産コシヒカリ

全国的にも有名な「魚沼産コシヒカリ」は、新潟県南部に位置する魚沼市、南魚沼市、湯沢市、長岡市(川口町)、十日町市、小千谷市、津南町で作られるコシヒカリのことです。この地域では、夏は気温が上がる一方、冬は豪雪地帯となり、四季の移り変わりがはっきりしています。昼夜の寒暖差も大きく、おいしい米作りに適した環境です。魚沼産コシヒカリは、日本穀物検定協会が行う「米食味ランキング」における、最上級「特A」認定の常連です。エルニーニョ現象による冷夏で米の出来が良くなかった年でさえ、全国で唯一特Aに認定されたほどで、その味や品質には定評があります。

岩船産コシヒカリ

新潟県の最北端に位置する岩船地方は、平成の名水百選に選ばれた荒川や、鮭や鮎が遡上する三面川などの清流に恵まれています。山の養分をたっぷり含んだ雪解け水もおいしい米づくりには欠かせないものです。また、岩船産コシヒカリは、ほかの地域に比べて農薬と化学肥料窒素成分量を低く抑えて作られていることも特徴です。

佐渡産コシヒカリ

佐渡は海に囲まれているため温暖な海洋性気候であり、水はミネラル分が豊富です。一方で夜は気温が下がって冷え込むため、昼と夜で気温に差が生まれ、稲の生育に良い影響を与えます。コシヒカリの栽培地域は、島中央の国中平野や海岸地域などです。2008年からは佐渡市が「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」を設けました。これを基準に作られたお米は、農薬や化学肥料を通常の半分に抑えることや、田んぼの生物を育む農法であることなど、厳しい条件をクリアしたとして「朱鷺と暮らす郷」というブランド米で販売されています。

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