お米を食べるメリットとは?デメリットも工夫次第で解消できる!

お米を食べるメリットとは?デメリットも工夫次第で解消できる!

お米を基本とした食事は健康的で体に良いイメージがある一方、「太りやすいのでは」「準備が面倒」といった声も聞かれます。この記事では、お米を食べることのメリットやデメリットを解消するためのコツについて紹介していきます。

お米は栄養バランスの取れた優秀食材!

日本人の主食であるお米には、多くの栄養成分が含まれています。主成分の炭水化物は、体内でブドウ糖に分解されて重要なエネルギー源となります。特に、人間が1日に消費するエネルギーの約18%を使うとされる脳は、ブドウ糖以外のものをエネルギー栄養素にすることができないため、脳を働かせるためには、ブドウ糖が必須です。炭水化物のほかに、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも豊富に含まれており、バランスの取れた食材だといえます。さらに、お米は飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含みません。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は摂取しすぎると悪玉コレステロールを増やし、心臓疾患へのリスクを高めるといわれていますが、1日3食をお米を食べてもこうした心配をする必要はありません。

お米を食べると副菜も豊かに!

アメリカのベイラー医科大学などの研究チームが2014年に「Food and Nutrition Sciences」に発表した調査結果によると、米食を食生活の基本にしている成人は、飽和脂肪酸や糖分の過剰な摂取が少なく、カリウム、マグネシウム、鉄、葉酸、食物繊維の摂取が多い傾向にあるということが分かりました。お米には飽和脂肪酸が含まれないため摂取が少ないのは理解できますが、お米にほとんど含まれていない栄養素の摂取が増えるのはどういうことなのでしょうか。食事をするとき、多くの人は主菜や副菜、汁物と一緒にお米を食べます。お米に合うおかずや汁物を用意することで、自然と野菜や大豆、肉、果物などを多く食べる食生活になり、さまざまな栄養素を摂取できると考えられています。

腸内環境を整える効果も

「腸内環境を整える栄養素といえば食物繊維では」と思う人が多いかもしれませんが、実は腸内の善玉菌が好んで食べるのはお米に含まれる難消化性でんぷん。同じく善玉菌のえさとなる水溶性食物繊維は、食べ物に含まれる量が少ないため十分な量の摂取が難しいのに対し、難消化性でんぷんは1日3食ご飯を食べることで気軽に摂取できます。腸内環境を整え、便秘対策をしたい人にとっても米食はぴったりです。

「お米は太りやすい」は間違い!米食で肥満を防ぐことも可能

「お米を食べると太りやすい」と聞いたことはありませんか。以前は、食事からお米を抜く炭水化物抜きダイエットが注目されたこともありましたが、現在ではお米を抜くことはむしろ逆効果で肥満リスクを高める可能性もあるといわれています。米食で肥満を防ぐことができるという調査結果も発表されているのです。

間食予防にも!実はご飯は太りにくい

お米は粒のまま摂取するため、小麦など粉で摂取するものと比べると時間をかけてゆっくりと消化、吸収されます。腹持ちが良く、お腹が空きにくいので間食の回数を減らすことができ、食べ過ぎを防ぐことが可能です。また、体に脂肪をためるホルモンがゆっくり分泌されるため、結果的に体脂肪の蓄積も抑えられるといわれています。日本の研究チームが136カ国を対象に米の摂取量と肥満レベルを調査したところ、米の摂取量が多い国(1日平均150g)では肥満レベルが低く、米の摂取量が少ない国(1日平均14g)では肥満レベルが高いことが分かりました。精白米150gは炊くと茶碗3杯分(軽くよそった場合)に相当するため、お米を抜くのではなく3食軽めに食べることが肥満レベルを上げないことに効果的だといえるでしょう。

肥満は今や世界的な問題です。世界肥満連合は、肥満の人は急増しており、2021年現在、1975年と比較して約3倍に上ると発表しています。2016年の調査では、過体重(BMIが25以上30未満)の成人は世界で13億700万人、肥満(BMIが30以上)の成人は6億7100万人です。2025年までに世界の成人人口の5人に1人が肥満になるという予測がされており、うち3分の1に当たる人は医学的な介入が必要なBMI35以上になるだろうといわれています。過体重や肥満は心疾患、2型糖尿病、がんなどを引き起こすリスク要因です。新型コロナウイルス感染症を重症化させるリスクとして肥満が取り上げられていたことを記憶している人も多いでしょう。体形維持だけでなく、健康増進のためにも、お米を食事に取り入れることのメリットが大きいと分かります。

お米は保存期間が長い!炊いた後は冷凍保存も可能

米袋には精米を行った年月日のみ書かれており、賞味期限や消費期限の記載はありません。これはお米が生鮮食品であり、食品表示法で表示の義務がないとされているからです。一般的にお米をおいしく食べられる期間は、春夏なら精米後2週間から1カ月、秋冬は1~2カ月程度といわれていますが、カビや虫、保存方法に気を付ければそれ以上の保管も可能です。また、玄米は白米よりも酸化のスピードが遅いので、さらに長い期間保管できます。

炊いた後に余ってしまったお米は、冷凍保存をすると1カ月程度食べることができます。炊き立てのご飯を湯気ごとラップで包み込み、粗熱が取れてから冷凍庫に入れましょう。1食分ごとに冷凍しておけば、お米を炊くのをうっかり忘れてしまったときも役立ちます。解凍時には自然解凍を行ってから電子レンジで温めるとよいでしょう。電子レンジだけで解凍するよりも水分が蒸発しすぎず、ふっくらとしたご飯を味わうことができます。

お米を食べるデメリットと解消方法を紹介

バランスよく栄養を取ることができ、肥満を防ぐ効果が期待できるお米。いいこと尽くしのように見えますが、人によってはデメリットと感じてしまうポイントや注意点もあります。

デメリットその1「パン食より手間がかかる」

パン食が「トーストするだけ」「そのまま食べられる」のに対し、米食はお米を計量して研ぎ、水に浸して炊飯してやっとできあがります。急いでいるときにお米を炊き忘れていることに気付いても、すぐに食べることはできません。用意に時間がかかるという理由で米食を避けている人も多いのではないでしょうか。全国農業協同組合中央会(JA全中)が2014年に調査した「朝食に関する意識調査」では、朝食に最もよく食べるものについて、39%が「ご飯(お米)」、50%が「パン」と回答しています。朝食に「パン」を選ぶとして「手軽に食べられるから」と答えた人が92%に上っていることもポイントです。

無洗米を選べば準備が簡単に

ご飯が炊けるまでの段階の中で、まず省略できるのはお米を研ぐことです。無洗米を選べばお米を研ぐ必要はありません。元々無洗米は、米のとぎ汁による水質汚濁を防ぐ目的で開発されました。お米を研ぐ手間が省けるうえに環境問題にも配慮することができる一石二鳥の商品なのです。無洗米を水に浸すときは通常の精白米よりも水を少し多めの量にするとよいでしょう。次に計量の手間も省いてしまいましょう。時間のあるときにお米を計量して小分けにしてから冷蔵庫で保存しておけば、お米を炊きたいときにすぐ準備することができます。また、計量機能付きのライスストッカーを使えば、指でレバーを押すだけで必要量を測ることができて便利です。これでお米を計量して研ぐ手間を減らすことができます。夜に炊飯器をセットしておけば、朝の準備にも手間取りません。

デメリットその2「塩分が高めの副菜、汁物を食べてしまう」

お米を主にした食事の中でも和食は塩分が高くなりがちなものとして知られています。例えば、高血圧学会の定める食塩摂取量の推奨量は1日に6g未満ですが、味噌汁1杯に含まれる塩分の量はおおよそ1.5~2gです。1日2回お味噌汁を飲むと塩分を3~4g程度摂取してしまうことになります。そのほかにも、焼き魚や漬物、醤油を使う煮物など、塩分が含まれるメニューが和食に多いことは確かです。

塩分に気を付けた食べ方、おかず選びを

和食を調理するときによく使う醤油や味噌は、減塩タイプのものが販売されています。塩分の摂りすぎが気になるならこうした商品を使うとよいでしょう。また、味噌汁をよそうときには具を多めに、汁を少なめにするなどの工夫をすることで、摂取する塩分量を減らすことができます。醤油やソースを食卓に置いているとたっぷり使いすぎてしまうので、食卓に置かないようにするのもポイントです。調理の段階で味付けを行い、後から各自で味付けを行わないようにしておきましょう。出汁、大葉などのハーブ類、コショウなどの香辛料、ポン酢などの酢・柑橘類を調理に使うと塩分を控えめにすることができます。

お米の食べ過ぎによるリスクは運動と食べ方で解消可能

肥満リスクを防ぎ、栄養バランスの良いお米ですが、食べ過ぎは禁物です。国立国際医療研究センター、国立がん研究センターなどの研究チームが、45〜74歳の男女約6万人を平均5年間追跡した調査によると、米飯摂取が多くなると糖尿病発症のリスクが上昇する傾向がみられました。お米を炊いた米飯の量が1日1杯強(165g)のグループに比べ、1日3杯(420g)のグループでは糖尿病の危険性が1.48倍に、1日4杯(560g)のグループでは1.65倍になったという結果が出ています(2010年10月「American Journal of Clinical Nutrition」に掲載「Rice intake and type 2 diabetes in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study」)。

一方で、男性はお米の摂取量による糖尿病の危険性に明確な差が見られなかったことも報告されています。また、ご飯にあわやひえ、麦を混ぜて食べている人は糖尿病の危険性が上昇していませんでした。さらに、運動の有無によって糖尿病の危険性に変化があるかどうかを調べたところ、1日1時間以上、筋肉労働や激しいスポーツをする人は1日に3杯のご飯を食べていても糖尿病の危険性が低下していました(男性で0.83倍)。

お米を1日3食食べることには、エネルギー源を脳に届け、肥満を予防するなどの良い効果があります。このようなメリットを享受して、糖尿病などのデメリットを減らすためには、お米にあわ、ひえ、麦などを混ぜたり、茶碗いっぱいによそわないように気を付けたりして、糖尿病リスクを抑える工夫をすることが大切です。座り仕事やリモートワークが多く、活動量が少ない人は特に注意しましょう。意識して日常的に運動習慣を持つようにし、お米を食べて健康を維持しましょう。

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