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コシヒカリを越えたお米?つや姫の美味しさの秘密とは

コシヒカリを越えたお米?つや姫の美味しさの秘密とは

全国で300以上を数えるお米の品種のなかで、近年特に美味しいと注目されているのが「つや姫」というお米です。つや姫は、お米の王様とも名高い魚沼コシヒカリを凌ぐともいわれるほど、食味が豊かなお米として全国的にも知られるようになってきています。それでは、つや姫はなぜそれほど高い評判を得るに至ったのでしょうか。今回は、つや姫の歴史を紐解き、その特徴や美味しさの秘密に迫ります。 10年かけて作られた品種!つや姫誕生の歴史 つや姫が生まれたのは、米どころとして有名な山形県です。つや姫が誕生した1990年代は、それまで山形県で長く作付けされてきた「ササニシキ」や「はえぬき」の人気が低迷を見せ始めていた時期です。山形県は起死回生を目指し、新しい品種を開発する一大プロジェクトを打ち出します。「夢の米」プロジェクトと銘打たれたこの計画は、実に10年もの歳月を要し、ついに求めていた新しいお米の開発に成功します。そのつやつやとした見た目の美しさと、10年もの時を経て大切に育まれたという開発の経緯から、新しい品種は「つや姫」と名付けられました。 明治時代に遡る!つや姫のルーツ こうして生み出されたつや姫は、そのルーツも開発した山形県に根差しています。明治時代に山形県で生まれて、明治後期から大正時代にかけて長く親しまれた「亀の尾」という品種が、つや姫の交配親です。亀の尾は山形県内ではレジェンドと見なされているお米の品種で、「コシヒカリ」や「はえぬき」といった品種もルーツを辿れば亀の尾にたどり着きます。そこから生まれたつや姫は、まさに山形県の伝統と誇りを受け継ぐ会心の品種だったのです。 つや姫の人気は全国に波及 つや姫がデビューしたのは、開発から10年以上が経過した2010年のことです。当初こそ栽培面積が小さく、評価も決して芳しくはありませんでしたが、品質を重視しながら少しずつ生産量を増やした結果、その人気はみるみるうちに全国まで拡大していくことになります。業界における評価も非常に高く、つや姫は生産量トップの常連であるコシヒカリを上回るほどの高い評価を受けています。 栽培方法や品質管理に関する厳しい基準が設けられ、つや姫を栽培できるのは県から認可を得た一部の農家のみです。にもかかわらず、つや姫は全国から注文が殺到し、一時期は生産が追い付かなくなるほどでした。デビューから数年で、つや姫は山形県にとどまらず、その品質と美味しさから全国的にも高い人気と知名度を獲得するに至ったのです。 とにかく美味しい!つや姫の特徴 つや姫の一番の特徴は、何といってもその美味しさです。お米の評価を決めるのは、何より精米したときの味と見た目です。「財団法人日本穀物検定協会」や「農業総合研究センター」といった業界団体では、実際にお米を食べて食味を審査する食味官能試験というものを実施しています。その試験で、つや姫は味と見た目の両方、すなわち「甘味」「旨味」「お米のつや」「粒ぞろい」という点でいずれも高い評価を得ています。その評価はコシヒカリを上回り、つや姫は業界内でも美味しいお米の代表格として認識されているのです。 お米の味を決める!つや姫の甘味と旨味 お米の味を決定づけるのは、口にしたときに広がるお米本来の甘味と旨味です。つや姫には、そうした甘味と旨味がバランスよく含まれています。特に旨味の評価は高く、これはつや姫に旨味成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸といった物質が多く含まれているためです。旨味成分の含有量はコシヒカリより多いとされ、この濃厚な旨味が他のお米とは違う、つや姫ならではの特徴を形作っています。 程よく粘り気があり柔らかい 旨味やつやと同様に高く評価されたのが、つや姫独特の粘り気と口当たりのバランスです。つや姫は他の品種に比べて粘り気が強く、米粒が柔らかめに作られています。この強い粘りと絶妙な柔らかさが、つや姫ならではの食感を生み、口に入れたときに広がるような美味しさを演出してくれます。噛みしめたときだけではなく、喉ごしも心地いいので、つや姫はまさに白米本来の美味しさを味わうことができるお米なのです。 目で見て楽しめる!透明なお米 つや姫は目で見て楽しめるお米だといわれます。その理由は、バランスに優れたお米の透明度にあります。玄米の光沢を表す玄米白度という指標で、つや姫は最適値の20.0に近い数値を出しました。つまり、つや姫は他のお米に比べて玄米が白く、透き通っていて美しく見えるということです。この玄米白度は、炊飯した際にも影響を与えます。実際、炊きたてのつや姫は輝くように白く、そして名前の由来にもなっている通りつやつやとしています。その見た目の美しさもまたつや姫の大きな特徴だといわれているのです。 大きな粒がそろっている つや姫の特徴は、粒が均一な点にも求めることができます。コシヒカリと比べて、つや姫は粒の大小にバラツキが少なく、粒ぞろいが良好なお米とされています。しかも、2.0ミリ以上の大きな粒が含まれている割合がコシヒカリより5%ほど多く、全体的に粒が大きいのもつや姫の特徴です。粒ぞろいが良く、大粒が多いお米は、食感が良く味も豊かという特性を持ちます。また、米粒が大きく均一なほうが見栄えも良いので、この点もつや姫が目で見て楽しめるお米といわれる所以のひとつです。 こんな料理と合わせてみて!つや姫と相性の良い料理 お米は品種によって味や特徴が大きく異なります。そのため、食事をより楽しむためには、料理やおかずに応じてお米の品種を変えてみるのもひとつの手です。たとえば、チャーハンやカレーといった料理は、粘り気の強いお米とは相性が悪いとされています。チャーハンはお米がパラパラとしていたほうが美味しいですし、カレーの場合もさっぱりした米質のほうがルーとしっかり絡んで味が引き立つものです。そのため、チャーハンやカレーを作る際は、粘り気が少なくあっさりしたしたお米を選んだほうが良いでしょう。 日本食との相性が良いつや姫 一方、和食などの伝統的な日本食は、お米が主食として食卓の中心に来るので、お米本来の味を楽しめるような品種が適しているとされます。その点、甘味と旨味のバランスが良く、食感や喉ごしも印象的なつや姫は、それ自体が主役級の存在感を放つお米です。ですから、つや姫は日本食との相性が非常に良い品種だといわれています。たとえば、一汁三菜の揃った伝統的な食事風景において、つや姫のような白米の王道ともいうべき品種は、まさに主役級の働きをしてくれることでしょう。日本食にはあっさりした料理が多いので、主張の強いお米と合わせることで、主食とおかずをバランスよく味わうことができます。 つや姫で握るおにぎり つや姫は粘り気が強いお米でもあるので、日本の伝統食のひとつであるおにぎりとの相性も抜群です。まず、握ったときにお米同士が程よくくっつくので、つや姫で作ったおにぎりなら頬張るように食べてもそう簡単には崩れません。しかも、お米自体に粘りがあるため、固く握らなくてもしっかりと成形することができます。口に入れたときのふんわりとした食感を保ちながら、簡単には崩れないしっかりしたおにぎりを作ることが可能です。また、柔らかいのが特徴のつや姫は、冷めても硬くなりにくいという性質を持ちます。この特徴のおかげで、つや姫は炊いてから時間が経っても美味しさをキープすることができるお米です。お弁当として持っていくおにぎりやごはんとして使ってみても実力を発揮してくれるでしょう。 濃い味の料理と合わせてみても 和食だけではなく、つや姫は洋食とも相性が良いお米です。たとえば、エビフライやカツレツなど、味の濃い料理と合わせてみても良いでしょう。つや姫自体が深い味と風味を持つお米なので、味の濃い料理と合わせても負けることなく、むしろおかずの味をより引き立ててくれます。つや姫は味のバランスが整っているので、多様な料理と合わせることができます。代表的な洋食のほかにも、生姜焼きや親子丼といった丼物なども、つや姫と相性の良いおすすめの料理です。 炊き立てをそのままで食べても良し つや姫を余すことなく楽しみたいなら、炊き立てをそのまま食べてみるのも一興です。つや姫自体に濃厚な味わいがあるので、炊き立てをそのまま食べることで、白米本来の味をしっかりと感じることができます。強い存在感を持つつや姫は、いわば白米が好きな人のために存在するようなお米です。そして、お米本来の味を最も感じることができるのが炊き立てです。炊き立てをそのまま食べる作法は、まさにお米の「ツウ」の食べ方だといって良いでしょう。 美味しさを最大限に活かす!炊き方にもこだわってつや姫を楽しもう つや姫の魅力を最大限に活かすなら、炊き方にもこだわりを持って臨みましょう。お米を美味しく炊くためには、まず何より水に注意するべきです。炊飯後のお米は、水の味や香りが色濃く反映されます。そのため、どれほど鮮度の良いお米を使っていたとしても、炊飯時に質の悪い水を使っていると、炊けたときに残念な仕上がりになってしまうことがあるのです。つや姫本来の味を感じたいなら、研ぐ段階から浄水やミネラルウォーターといった良質の水を使うようにしましょう。...

意外と知らない?お米1合の豆知識

意外と知らない?お米1合の豆知識

お米の分量を表す「合」という単位。日常的に使っている単位にもかかわらず、1合が何グラムなのか、また何人前に相当するかなど、知っているようで意外とわからないものです。人数分のお米を炊くのに何合のお米が必要か、そういう豆知識を身に付けておくと何かと便利でもあります。そこで今回は、意外と知らないお米1合の豆知識について紹介します。 お米1合ってどれくらい? そもそも、「合」という単位が使われるようになったのは江戸時代だといわれています。江戸時代では、お米で税を納めていたので、「合」の他にも「升(しょう)」や「石(こく)」「俵(ひょう)」など、お米の重さや分量を表すさまざまな単位が使われていました。戦後になって計量法が改正され、数や量の単位が国際基準に合わせられたため、「合」などの日本独自の単位は公式には使われなくなりました。しかし、現在でもお米やお酒の単位として「合」や「升」は日常的に使われる単位です。 お米1合は何グラム? 日常で一般的に使われる単位でも、実は意外と知らない「合」の具体的な重さ。わかりやすくグラム数に変換してみましょう。1合のお米は、炊飯前の状態で約150gとされます。150gというと、中サイズのじゃがいも1個くらいの重さです。ただし、お米の重さは諸条件によって変わってくる点には注意が必要です。たとえば、新米と古米では水分の含有量が異なるため、同じ1合のお米でも具体的な重さには多少の誤差が生じます。また、炊飯前と炊飯後では、水を吸収しているので当然1合あたりのグラム数も変わってきます。 お米1合は何ml? お米を炊く際は、計量カップで分量を計算してから水加減を量るものです。計量カップの単位はグラムではなくml(ミリリットル)やccなどですから、グラムとはまた単位が変わってきます。お米1合をml(ミリリットル)で換算すると、約180mlとなります。計量カップ1杯分です。ただ、市販の計量カップは200mlで作られている場合が多いため、200mlのカップで1杯分のお米を量ってしまうと誤差が生じます。ここでいう計量カップ1杯分とは、お米の計量専用の180mlカップで計算した場合です。180mlの計量カップは日本独自の規格で、まさにお米1合を正確に量るために作られたものです。 お米1合は何人前? 炊飯するとお米が水を吸収するので、炊飯後のお米は炊飯前より重くなります。炊飯時の水加減にもよりますが、炊き上がったお米1合の重さは約330~350gです。中サイズの茶碗に普通盛りでよそえば、その重量は約150gとなります。これを「合」で換算すると、およそ0.4合。つまり、お米1合を炊飯した場合、約2人前のごはんが出来上がる計算です。コンビニのおにぎりサイズなら、お米1号はおにぎり3つ程度となります。もちろん、もともとたくさん食べる人なら、お米1合くらいでちょうど良いという人もいるでしょう。そのため、お米1合が何人前に相当するのかは、それぞれの家庭の事情などによって変わってきます。 正しく計量しよう!お米1合あたりの水加減 お米の炊き上がりは、水加減によって決まるといっても過言ではありません。そもそもお米を炊く作業には、基本的に水しか使わないため、水の調節が炊きあがりの良し悪しを大きく左右するのです。それでは、お米1合あたりに入れる水量の目安はどの程度なのでしょうか。ここでは、お米1合あたりの水加減を解説します。 お米1合あたりの適切な水加減 昔から、お米を炊く際の水加減は、お米の体積に対して2割増だといわれています。つまり、お米1合が180mlですから、1合に対する水加減は180×1.2で216mlが目安です。ただし、炊く前に洗米したお米は、その時点で少し水分を吸収しています。そのため、洗米を炊飯する場合、水の量はお米1合に対して1.1~1.2倍の200ml程度が適切だとされています。一方、炊飯前に研ぐ必要のない無洗米の場合は、水の量を少し多めにしましょう。お米1合なら、1.2~1.3倍の約220mlが水量の目安です。 とはいえ、炊飯器でお米を炊く場合は、内釜に目盛が刻印されているので、それに合わせて水を加えれば問題ありません。内釜の目盛はその炊飯器にとって適切な水量となっているので、炊飯器に専用の目盛が付いている場合はそちらを基準に水を入れたほうが確実に計量できます。むしろ、炊飯器でお米を炊く場合は、水量以上にお米の計量に気を使いましょう。計量カップなどで量るだけなので簡単に見えますが、カップに入れたときにすりきりをしないと、1合を正確に量れない場合があります。すりきりとは、箸などを使って計量カップのふちを平らにならすことです。すりきりをすることで、カップ1杯を誤差なく計量できるので、計量カップでお米1合を量る際は必ずすりきりしてなるべく正確に計量しましょう。 新米と古米で水の量は変わる? お米の品種や品質によって、水の量は少し加減を加えたほうが良いとされています。たとえば、新米と古米では水分の含有量が多少異なります。古米に比べて、新米はやや水分量が多いため、新米を炊く際は水の量を1割程度減らすのが一般的です。ただし、現在では新米でも古米でも徹底した管理体制で保存されているため、水分の含有量もそこまで違いはないとされています。ですから、基本的には同じ水量で炊飯してみて、出来具合に応じて次から水の量を調整してみると良いでしょう。 水の量は好みに合わせて調節しよう 炊き上がったお米の仕上がりは、水の量を調整することで変わってきます。水を多めに入れれば、炊飯後のお米はふっくらと仕上がりますし、逆に水を少なくすれば、やや硬めのお米が出来上がります。お米の炊き具合は人によって好みが分かれるものです。ふっくらしたみずみずしいお米が好きなら水を多く、硬くしっかりした食感を楽しみたいなら水を少なめに入れるなど、自分の好みに合わせて水の量は調節しましょう。 パンより少ない?1合あたりのお米に含まれる糖質 健康志向の高まりやダイエットブームによって、糖質制限しながら食事を摂っているという人も多いでしょう。お米は糖質の代表格として、食卓から退かれることも少なくありません。ただ、お米1合あたりの糖質がどのくらいか、しっかり理解できているでしょうか。糖質制限をする場合でも、まずは主食であるお米にどのくらいの糖質が含まれているのか正確に知ることは大切です。 お米1合あたりの糖質は? それでは、お米1合あたりで計算した場合、どの程度の糖質が含まれているのでしょうか。炊飯後のお米1合を330gとすると、お米1合分の糖質は差引き法による計算で117.5gです。カロリーでいうと、515kcalです。次に、茶碗1杯あたりの糖質を計算してみましょう。中サイズの茶碗1杯は約150gとなるので、150gのお米を食べたときの糖質を割り出します。その数値は53.4gです。カロリーで換算すると、茶碗1杯分は234kcalとなります。 パンとお米の比較 パンとお米を比較した場合、どちらがより低糖質なのでしょうか。わかりやすいように、同じ100gあたりで見てみましょう。お米100gの糖質が35.6gなのに対して、食パン100gの糖質は42.2gです。カロリーはお米100gが156kcal、食パン100gが248kcalとなっています。つまり、同じ量のパンとお米なら、お米のほうが糖質やカロリーが低いという計算です。もちろん、お米にもパンにも、糖質以外にタンパク質や脂質なども含まれています。お米に比べてパンのほうがカロリーが高いのも、パンのほうがお米よりタンパク質や脂質の含有量が多いためです。 糖質制限するならお米はむしろ必要? お米1合は茶碗およそ2杯分となるので、1合のお米を食べれば糖質も多く摂取してしまうでしょう。しかし、健康にとって栄養バランスは不可欠な要素です。糖質を過度に制限すれば、筋肉量の低下や集中力の減退を招くこともあるため、制限し過ぎず糖質も適度に摂取していくことが大切です。そのなかで、お米はパンに比べて糖質が少なく、カロリーも低い傾向にあります。また、腹持ちが良いため、間食を減らす効果も期待できます。むしろ、お米がダイエットの手助けになってくれるケースもあるので、ダイエットするなら糖質を過剰に制限するのではなく、どのように摂取するのかを考えるべきでしょう。 お米1合は何粒?お酒の1合とは違う?お米1合の豆知識 お米1合にはどのくらいの米粒が入っているのでしょうか。江戸時代には「ムシヤフナ(64827)」という言葉がありましたが、これはお米1升分の米粒の数を表す用語です。お米1升は1合の10倍、すなわち10合なので、お米1合あたりの米粒は約6500粒となります。お米1合が茶碗約2杯分なので、茶碗1杯には3200粒程度の米粒が入っている計算です。 お米1合は稲穂だと何本くらい? 稲穂1本あたりの米粒は約100粒とされます。稲穂を株分けして1つの束にした場合、稲穂の数は約20本となるので、1束あたりの米粒は約2000粒です。つまり、1合のお米は3束から3.5束の稲穂から作られるということです。そのように考えると、普段何気なく食べているお米がとてもありがたく感じられるのではないでしょうか。...

おいしいお米を食べたいなら精米時期をチェック!

おいしいお米を食べたいなら精米時期をチェック!

日本人にとっては馴染み深いお米。なかには「ごはんを食べることができないと想像すると辛い」という人もいるようです。そういった人にこそ知ってほしいおいしいお米の見つけ方のひとつが「精米」です。本記事では、お米好きさんにこそ知ってほしい精米のアレコレについて解説します。 お米ができるまでは約7カ月 近くに水田がある場合は田植えや稲刈りの様子を見かけることもあるかもしれません。お米は種選びから収穫、精米をして出荷されるまで約7カ月間かかります。 良質なお米を作るにはまず種選び お米の種は「種もみ」と呼ばれています。簡単にいえば、種もみは前回の収穫時に保存しておいたもみ(殻が付いたままのお米)のことです。種は丈夫に育つものを見分けなければならないので、塩水に入れ、沈んでいる種もみだけを使用します。これは、丈夫に育つ種もみは中身が詰まっているので重いといわれているからです。その後、選別された種もみを水でよく洗ってから小袋に分けて入れ、消毒をします。このときの消毒は農家によってやり方がさまざまあり、薬剤を使用したり、60度ほどのお湯につけたりといった方法です。その後、水槽に種を袋ごと入れて2週間かけて吸水させます。この期間は温度管理をしているため、種もみが発芽します。 育苗箱で苗を育てる 4月になると発芽した種もみは専用の育苗箱に撒かれて、ビニール製のハウスやトンネルなどで苗になるまで育てられます。その間に田の土づくりです。一般的には、トラクターを使用して土を掘り起こし、柔らかい状態にしますが、この際、場合によってはより良い土になるように肥料を撒きます。5月頃には苗も植えられるほど育っているので、田に水を入れて土の最終仕上げです。土が水をふくんでとろりとした状態になるまでロータリーという専用機械でかき混ぜ、田植えに備えて土の表面をならします。土の準備が整ったら専用機で田植えを行い、機械で植えられないような細かな部分は人間が手作業で植えて完了です。 6~8月までは稲の育成期間 稲の成長具合をチェックしながら水の管理、肥料投与、稲と稲の間に溝を掘る作溝、7月頃には稲の根を空気に触れさせたり、土に酸素を補給したりする中干しなどの作業を行います。また、気温が上昇する真夏は害虫がいつにも増して活動的になり、もち病という稲の病気が発生しやすくなるので注意しなければなりません。そのため、地域の基準に沿って、無人ヘリコプターが薬剤散布を行う場合もあります。 9月前後には実った稲を収穫する 品種によって稲刈りの時期は8~10月頃と異なりますが、一般的には9月前後に行われることが多いです。稲刈りにはコンバインという機械を使用しますが、この機械1つで稲刈りともみだけを収集する脱穀をすることが可能です。収穫したもみは含有水分が15%前後になるまでゆっくりと乾燥機にかけ、もみすり機を使って玄米にします。もみは大量にあるので一気に乾燥できれば良いのですが、そうするとお米にひずみが出る胴割れが起こりやすいです。そのため、時間をかけて乾燥をする必要があります。出荷する場合はその後、ライスグレーダーという選別機でくず米、出荷用のお米に分別しなければなりません。この際、出荷用のお米には良質なもの順にランク付けされます。 お米の等級とは お米は出荷される前に粒の状態を見て、等級分けされています。等級分けの基準は含有水分や出荷できないお米の量、異種穀粒・異物混入などの合計です。最も良い状態のものを1等級とし、2等級、3等級、規格外という等級を割り当てられます。一般的に、市販されているお米のパッケージにはこういった等級は記載されていません。表示記載しているものもあるかもしれませんが、もともとお米の等級をパッケージに表示するというルールがないため、等級はどちらかといえば卸売流通業者が評価をする基準になるものです。 精米次第で栄養価や食べやすさが変わる 一般的に、スーパーなどで購入できるお米はすでに精米済みのもので、お米を洗って炊飯器で炊けばすぐに食べることができます。しかし、収穫したてのお米は殻がついているもみの状態なので、自分好みで精米することが可能です。 精米機は身近な場所に設置されている 農家であれば自宅に精米機も準備されていることが多いですが、一般家庭で精米機まで購入しているお家はめったに見かけません。ただ、収穫したてのお米を直接農家などから購入できる場所もあるため、精米機を利用する人も増えています。精米機は、各地域に有料で誰でも使用可能なものが設置されているので便利です。精米具合も好みに合わせて決めることができます。使い方もシンプルで誰でも簡単に精米できるので、機会があれば挑戦してみるのもおすすめです。 そもそも精米とは? 稲刈りをして何も加工されていない状態を「もみ」といいます。お米は殻がついているので、そのままで食べることはできません。そこで、まずは「もみすり」という殻を除去する作業を行います。もみすりを終えた状態が健康食としても人気の「玄米」です。玄米は粒の周囲をぬかが覆っているので、より食べやすくするためにぬかを除去するのですが、これが「精米」という作業になります。 精米はどのレベルまで行うべきなのか 精米といっても1種類ではなく、どのレベルまでぬかを除去するのかによって見た目や含まれている栄養量も変わります。精米前のお米の殻だけを除去したものが玄米で、これを基準としてどの程度精米するのかを好みで決めなければなりません。栄養価に関しては、精米をしていない玄米が最も高いです。ただ、ぬかが付着している状態は独特のにおいがあるので人によっては食べにくく、精米でぬかを除去する部分が増えるほど食べやすくなります。ほんの少しだけぬかを除去したものを1ぶつきといい、除去量が増やしたものが3ぶつき、5ぶつき、8ぶつきです。 8ぶつきまでの間で精米されたお米は「ぶつき米」と呼ばれています。ぶつき米は健康米として注目されている玄米の栄養素を残しつつ、食べやすさも追求した精米方法です。8ぶつきは見た目も白く、ほとんど白米の状態ですが、玄米の栄養豊富さが残っており、おすすめの精米状態になります。8ぶつき以降は標準、さらに精米したものが上白といってぬか部分がほぼなくなっているものです。 精米度合いによる栄養成分の変化 科学技術庁の調査によると、精米度合いによって栄養価は変化しています。たとえば、生活習慣病予防に効果的なビタミンB1は玄米が1.02mgありますが、白米(完全にぬかを除去したお米)はわずか0.23mgです。特に大きく減少するのが食物繊維で、玄米が26.3gなのに対し、白米は3.0gにまで減っています。ごはんでもバランスよく栄養を摂取したい場合は、精米度合いもその点を考慮して選ぶのが良いでしょう。 栄養価の高さと食べやすさどちらも重視するのなら胚芽精米もあり 精米方法のひとつとして「胚芽精米」も注目されています。こちらはぬか部分の中で最も栄養がある胚芽のみを残し、ほかのぬかは除去したお米です。基準は胚芽80%以上、残りの部分は白米の状態にすることで、精米するためには専用の特殊な精米機を使用しなければなりません。胚芽米は白米と混ぜて炊くこともできますし、胚芽米のみで炊いてもおいしく出来上がります。また、玄米より消化吸収が良く、子どもや高齢者も安心して食べやすいお米です。ちなみに、胚芽米の栄養はビタミンB1、E、亜鉛が比較的玄米に近く、食物繊維が白米と僅差になっています。 お米をおいしく食べるなら精米後1カ月前後までのものを お米を購入するときにパッケージの表示記載を確認する人もいるのではないでしょうか。しかし、そのときにほとんどの人はいつのお米なのかを確認するのみで、新米と記載されていれば新鮮でおいしいと考えてしまいがちです。新米と表示されているものはその年の秋に収穫し、同年12月31日までに精米をして包装されたものを指します。地域にもよりますが、新米を店頭で手に入れることができるのは大体1月中になるため、精米から2、3カ月ほどすでに経過しているものもあるでしょう。 お米には賞味期限がない お米は生鮮食品であり、食品表示法で賞味期限や消費期限の表示をする義務はないとされています。そのため、お米のパッケージに賞味期限などが記載されているものはそれほど多くありません。ただ、精米した年月日は記載されているので、そちらを確認すればいつ頃に精米されたお米なのか、新しいのか古いのかということがわかります。「古米」という言葉がありますが、こちらは収穫から1年経過しているお米です。低価格で手に入れることができますが、味は新米と比べてかなり落ちてしまっているので調理法に工夫が必要になるでしょう。...

通販や定期便でお米を買う!店頭のお米とは何が違うの?

通販や定期便でお米を買う!店頭のお米とは何が違うの?

お米を買うとき、一度にどのくらいの量を購入してしますか?いちいち買うのは面倒だからと、20キロや30キロといった単位で一気に買っているという人も多いのではないでしょうか。しかし、お米は意外と足が早い食品です。そのため、なるべく短い期間で食べきれる量だけ購入したいところ。そのためには、通販や定期便で購入するのがおすすめです。ここでは、お米を通販で購入するメリットについてお伝えします。 意外と短い?お米の保存期間 お米には食品表示法における賞味期限の表示が義務付けられていません。これは、お米が野菜と同じ生鮮食品という扱いだからです。野菜やお米といった生鮮食品は、気候や湿度、保存する環境などによって鮮度が大きく左右されます。賞味期限とは美味しく食べられる目安の期限のことですから、環境に左右されやすい生鮮食品はそもそも賞味期限を設定するのが困難なのです。 しかし、お米にも美味しく食べられる期限のようなものはあります。どの品種のお米でも、袋やパッケージには精米日の日付が記載されているはずです。その日付を基点として、お米の食べごろは1カ月程度が目安だといわれています。ただし、気候や保存環境の影響を大きく受けるため、季節によってお米の食べごろの目安は変わってきます。 冬の保存期間は2ヶ月程度 お米は高温多湿が苦手な食品です。そのため、暑い日が続く夏場は傷みやすいといわれています。一方、比較的湿度が低く、気温も落ち着いている冬はお米の保存に悪い環境ではありません。冬の場合、保存期間は2カ月程度と長く、夏に比べてお米が長持ちする傾向があります。ただし、乾燥し過ぎもお米の状態を劣化させるため、正しい環境で保存することがお米を長持ちさせることにおいて大切です。 夏は2~3週間で悪くなってしまうことも 適度な温度と湿度であれば、お米は比較的長持ちしますが、梅雨時や真夏など、湿度が高く高温が続く環境下ではすぐに劣化してしまうこともあります。夏場は特に虫が好む環境となるので、虫がわかないように対策もしなければなりません。また、水気の多い場所に置いていると、お米にカビが発生して腐ってしまうケースもあります。そのため、夏場におけるお米の保存期間は、長くても3週間程度が目安となります。 未開封でも変わらない?米袋の秘密 スーパーなどで売っているお米は、紙製の米袋かプラスチックの袋に梱包されています。紙製でもプラスチックでも、口がしっかり閉じられており、しかもお米が袋一杯にぎっしり詰まっているため、未開封なら保存期間も長くなるのではと思いがちです。しかし、お米は未開封であっても保存期間に違いはありません。なぜなら、お米の袋には見えない微小の穴が空いているからです。 米袋に穴が空いている理由 一部の例外を除いて、お米が詰められている袋には無数の穴が空いています。これは、空気圧で米袋が内側から破損するのを抑えるためです。重量のある米袋は、流通や保管の過程で空気圧による内部の破損が生じる場合があります。そのため、袋に小さな穴をあけて、そこから空気が逃げるようにしているのです。 空気に触れることで酸化する お米は空気に触れることでどんどん酸化してしまいます。酸化したお米は、白米表面の糊粉層(こふんそう)という層が分解され、味が大きく劣化します。また、古米臭と呼ばれる独特のニオイを発し、味だけではなく風味まで落ちてしまうのです。お米は新品の袋に詰められている状態でも、小さな空気穴から絶えず空気に触れているので、未開封であっても酸化してしまいます。そのため、開封・未開封にかかわらず、保存期間にはほとんど差が生まれないのです。 真空パックなら酸化を防げる 空気に触れることで酸化するのなら、逆に空気に触れさせながら鮮度を保てることになります。実際、真空パックに詰められたお米なら、空気に触れることがないので酸化もしません。そのため、鮮度を長く保つことができます。真空詰めのお米の場合、保存期間も1年以上は見込めるでしょう。ただし、真空詰めでも内部の乾燥は避けられないので、美味しいお米を食べるならなるべく早く消費するに越したことはありません。 通販なら新鮮なお米を食べられる! スーパーなどで流通しているお米は、空気穴の開いた米袋に詰められ、しかも精米日から日数が経ってしまっていることも少なくありません。お米の鮮度は、精米日からの経過日数によって変わってきます。新米でも古米でも、精米日から時間が経っていれば鮮度は落ち、お米本来の味や風味は失われてしまいます。新鮮なお米を美味しく食べたいなら、まず精米日から日が経っていないお米を選ぶのが鉄則です。 精米するとお米は劣化しやすくなる 玄米の状態だと、お米は劣化しにくいといわれています。なぜなら、玄米はまだ米ぬかや胚芽、皮などが取り除かれていないので、白米に比べて空気に触れる部分が少ないためです。空気に触れて米粒が酸化することもほとんどないので、玄米の状態で徹底した管理体制による保存を行えば、数年でも品質を保てるとされています。一方、精米してぬかや胚芽などを取り除くと、お米は空気に対して無防備な状態となります。そのため、精米されたお米は空気に触れやすくなり、酸化が起こって味や風味が落ちやすくなってしまうのです。 通販なら精米日の近いお米を食べられる スーパーなどでは、主に精米されたお米が売られています。精米日はバラバラで、なかには精米からかなり日数が経っているお米が売られていることも珍しくありません。もちろん、玄米で購入して自分で精米するという方法もありますが、重いお米をいちいち精米所まで運んで機械にかけるのは面倒でもあります。そこでおすすめなのが、通販でお米を購入する方法です。 通販なら、まず重いお米を自分で運ぶ必要がありません。注文すれば自宅まで届けてくれるので、美味しいお米を楽に手に入れることができます。また、通販の場合は基本的に注文を受けてから精米されます。鮮度の高い精米直後のお米が届くので、新鮮で美味しいお米を食べたい人にもおすすめです。仕入れルートが決まっていることが多いスーパーとは違って、通販は自分が好きな品種のお米を直接取り寄せることもできます。お米にこだわりがある人こそ、通販での購入は美味しいお米を手に入れる最適な手段になってくれるはずです。 通販でお米を買うなら!定期便がおすすめな理由 主食であるお米は、多かれ少なかれほぼ毎日のように食べるものです。そのため、1カ月に消費するお米の量も、各家庭でそこまで大きく変わらないのではないでしょうか。お米を毎日欠かさず食べているというのであれば、定期便でお米を届けてもらうのが最適です。お米の定期便は、決まった周期で自宅にお米が届くので、お米をうっかり買い忘れたり、忙しくて買う時間がなかったりする場合でも安心です。 お気に入りの品種を定期的に食べられる お米の定期便は一定の周期で指定のお米を届けてくれるサービスです。スーパーなどでお米を購入すると、いつも買っている品種がたまたま売り切れていることもあります。既にお米を切らしていたので、仕方なく別の品種を購入したことがある人もいるのではないでしょうか。その点、定期便ならお気に入りの品種が手に入らないということはありません。一定の量を決まった周期で届けてくれるので、いつでもお気に入りのお米を食べることができるのです。 お米を買う頻度が多いからこそ 精米後のお米は、どれほど厳格に保存していても、時間が経てばすぐに鮮度が落ちてしまいます。そのため、基本的には早く食べきれる量だけ購入して、なるべく短期間で消費してしまうのがお米を美味しく食べる秘訣です。ただ、店頭でお米を購入する場合、たとえ少量のお米でも結構な重量になります。食べきれる量をいちいち店頭で購入するとなると、毎回重い荷物を持って買い物しなければなりません。特に女性や小さな子どもがいる場合、お米を買うだけでもかなりの苦労です。 一方、定期便でお米を購入していればそうした心配はありません。定期便は毎回食べきれる量だけ届けてくれるように注文することができます。特にお米を購入する頻度が多い場合、定期便なら買ったお米をいちいち店頭から自宅まで運ぶ手間もかかりません。女性やお年寄り、小さな子どもがいる家庭こそ、定期便でお米を届けてもらうメリットはとても大きいのです。...

みんなに人気のお米はこれ!お米の品種ランキング

みんなに人気のお米はこれ!お米の品種ランキング

日本人の主食として愛され続けてきたお米。生産地の気候に合わせてさまざまな品種改良がなされ、よりおいしい品種が続々と誕生しています。この記事では3つのデータを元に独自のランキングを作成。多くの人に支持を集めているお米を紹介していきます。 3つの指標をもとにランキングを作成! 日本には、国に品種登録されているお米が約900品種あり、そのうち主食用として多く作られているのが約300品種、もち米が約70品種、酒米が約120品種あります(2019年12月30日現在、農林水産省「品種登録ホームページ」、農林水産省「2020年産産地品種銘柄一覧」)。お米の味や見た目の美しさは、品種だけでなく生産者や生産地によっても異なるため、一概に「この品種が素晴らしい」と決めてしまうことはできません。ここでは、米穀安定供給確保支援機構の「2021年度産水稲の品種別作付動向について」、日本穀物検定協会の「第50回食味ランキング(2021年産米)」、静岡県の「第18回お米日本一コンテストinしずおか」の結果を総合して、ランキングを作成しました。それぞれの調査・ランキングについて説明していきます。 米穀安定供給確保支援機構「2021年度産水稲の品種別作付動向について」 米穀安定供給確保支援機構の「2021年度産水稲の品種別作付動向について」は、品種別の作付け比率を調べたものです。どの品種のお米が国内で多く作られているかが分かります。 1位は「コシヒカリ」。作付け比率は全体の33.7%と圧倒的な強さです。1979年以降連続で1位を守り続けており、北海道、沖縄を除く全国で作られています。 2位は「ひとめぼれ」。作付け比率は9.1%で、東北地方を中心に作られている品種です。 3位は「ヒノヒカリ」で作付け比率は8.3%。九州、中国四国地方、近畿地方など西日本で栽培されています。 続く4位は「あきたこまち」で作付け比率は6.8%、5位「ななつぼし」が3.4%です。 日本穀物検定協会「第50回食味ランキング」 米の食味ランキングは、主な産地品種銘柄について白米を試食して行う食味官能試験をもとに、「特A」「A」「A‘(Aダッシュ)」「B」「B‘」にランク付けしたものです。試験は専門の食味評価エキスパートパネル20人が行い、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価に関して比較評価を行います。比較対象となる基準米は、複数産地のコシヒカリのブレンド米で、基準米よりも特に良好なものを「特A」としています。 2021年に特Aと評価された53銘柄のうち、最も多かった品種は、51生産地の「コシヒカリ」 2位が17生産地の「ヒノヒカリ」 3位は8生産地の「ひとめぼれ」 4位は7生産地の「きぬむすめ」 5位は6生産地の「つや姫」と「あきたこまち」でした。 品種ごとに生産量が大きく異なるため、特A評価を受けた生産地の多さが品種の評価に直結するわけではありません。また、この調査では流通するすべてのお米を評価しているわけではありませんが、1つのデータとして参考にしています。 静岡県「第18回お米日本一コンテストinしずおか」 「お米日本一コンテストinしずおか」は、食味評価機器による機器審査を通過したお米を対象に、米・食味鑑定士、お米マイスター、お米アドバイザーなど15人が最終審査(食味官能審査)を行い、実行委員会会長賞(特別最高金賞)、最高金賞、金賞、静岡県知事賞を決めるものです。最終審査の1回戦で上位30点を選出し、2回戦で対象の30点をトーナメント方式で審査。2021年12月に行われたコンテストでは、特別最高金賞および、最高金賞5点のうち4点が「コシヒカリ」、残る1点が「ゆうだい21」でした。金賞の中で最も多かった品種は、「コシヒカリ」10点で、そのほかに「ゆうだい21」「きぬむすめ」「にこまる」「ミルキークイーン」が2点ずつ入賞しています。このコンテストでは、1都道府県当たりの選出数は上限10点という定めがあります。 1位はお米の王様「コシヒカリ」 作付面積比率で圧倒的な広さを誇るコシヒカリ。日本で1番生産されているお米です。生産量が多いことも一因ではありますが、「第50回食味ランキング」「第18回お米日本一コンテストinしずおか」のどちらにおいても、多くの生産地、生産者が高い評価を得ています。コシヒカリは1956年に福井県で生まれました。味の評価が高いものの病気に弱い「農林1号」と、病気に強い「22号」をかけあわせて作られた品種です。漢字では「越光」と書き、「越の国に光輝く米」という思いが込められています。 ひとめぼれやヒノヒカリなど、コシヒカリと他の品種をかけあわせて生み出された人気品種も多くあり、日本を代表するお米と言っても過言ではないでしょう。コシヒカリの一番の特徴は、旨みと甘み、粘りが強いことです。でんぷんの主成分であるアミロースとアミノペクチンのバランスに優れており、そのことが美味しさの要因となっています。炊きあがったお米の美しさや、歯ごたえのやわらかさなども魅力です。 2位は西の横綱「ヒノヒカリ」 作付面積比率は8.3%で3位ながら、「第50回食味ランキング」では2位に当たる17生産地が特Aの評価を受けており、評価の高さがうかがえる品種です。ヒノヒカリはコシヒカリと黄金晴(こがねばれ)を交配させてできた品種で、1989年に命名登録された翌年には、九州各県で奨励品種に採用されました。現在では、東の横綱がコシヒカリなら、西の横綱はヒノヒカリと称されるほど、西日本で多く生産されています。ヒノヒカリという名前は育成地であった宮崎県で公募により決められました。 九州は長らく、気候の問題から味の良い既存品種が栽培できず、生産するお米の質が低い地域とされていました。そこで、米どころ・東北地方のお米にも対抗でき、九州の温暖な気候で栽培できる味の良い品種を目指して作られたのがヒノヒカリです。粒は小ぶりですが厚みがあり、もっちりとした食感で、噛むとコシヒカリ譲りの味わいを感じることができます。コシヒカリよりも価格が手ごろな点も人気の一因といえるでしょう。 3位「ひとめぼれ」 3位はひとめぼれです。作付け比率は9.1%で2位、「第50回食味ランキング」では3位に当たる8生産地が特Aに選ばれました。「コシヒカリ」と「初星」をかけあわせ、1991年に宮城県で作られた品種です。宮城県の風土に合わせて育成されており、作付け比率の大きさから分かるように栽培がしやすいことでも知られています。東北地方を中心に栽培されており、特に冷害に強いことが特徴です。品種名には「味と見た目の美しさにひとめぼれするようなお米」という意味が込められており、全国3万8000件以上の応募から選ばれました。ひとめぼれは、粘り、旨み、艶などのバランスがよく、主張しすぎないため、どんな料理にも合うお米だといわれています。特に出汁を生かした和食メニューとの相性は抜群です。味と香りがよく、冷めてもおいしいため、お弁当に入れるのにも適しています。 4位「あきたこまち」 4位はあきたこまちです。作付け比率は6.8%で全国4位、「第50回食味ランキング」では、5位に当たる6生産地が特Aに選ばれました。秋田県では人気品種であったコシヒカリの栽培が難しく、「コシヒカリの良さを受け継ぐ品種を作ろう」という思いから開発がスタートしました。「コシヒカリ」と「奥羽292号」をかけあわせ、1984年に秋田県で生まれた品種です。旨みや甘みが強いコシヒカリの特徴を受け継ぐ一方で、コシヒカリほど主張しすぎないため、シンプルな味付けの和食などと相性が良いといわれています。品種名は、平安時代の歌人で美人として知られる小野小町に由来。あきたこまちの誕生地といわれる秋田県湯沢市は、小野小町が生まれた場所とされています。 5位「きぬむすめ」...

遠慮せず上手に食べよう!お米がダイエットに良い理由教えます

遠慮せず上手に食べよう!お米がダイエットに良い理由教えます

ダイエットをしている人で、「太るからお米を食べない」という人が散見されます。特に、芸能人が糖質制限ダイエットで大幅な減量に成功したなどの報道がなされると「やっぱり、糖質を制限しないとダメなのかな」と思ってしまいがちです。しかし、体に負担をかけずにダイエットをしたいなら、むしろお米は積極的に食べましょう。科学的な根拠とともに、理由を解説します。 お米を食べて太る人には他の原因がある 「太るから」という理由でお米を食べない人は一定数います。しかし、太る原因を極力シンプルに説明すると、摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態が慢性的に続いているからです。そのため、お米を食べたことだけで太るとは限りません。 仮に、お米を食べたとしても、摂取カロリーが消費カロリーを下回っていれば、さほど問題はないはずです。 もし「太るからお米を食べない」というのであれば、食生活も含めた、自分の普段の生活に問題がないかを改めてチェックしてみましょう。例えば、普段から全く運動しない人が、1食に何杯もお米を食べれば、カロリーの取りすぎになるため、当然太ります。また、揚げ物など脂っこいおかずが好きだったり、頻繁に間食をしたりするのも、ダイエットという意味では最悪でしょう。1日程度ならともかく、寝る直前に夕食を食べることが常態化している人は、そもそも1日の時間の使い方を見直した方が良いかもしれません。 「お米を食べたら太るから食べない」という人は、このように食生活も含めた普段の生活をまずは顧みて、改善を心がける方が、無理な食事制制限に走るよりもはるかに大事です。もし、短期間で急激に太った場合は、内臓に疾患が生じているなどの理由で、体全体がむくんでいる可能性もあります。そのような場合は、まずは医師の診察を受けて、原因を特定してから、改めて生活の改善に取り組みましょう。 お米を食べないと筋肉が減りやすい上に疲れやすくなる また、お米を一切食べないと言った、糖質を極端に減らすダイエットは心身にダメージを及ぼします。その理由について解説しましょう。1つ目の理由として、糖質を制限すると筋肉が落ちることが挙げられます。正確にいうと、糖質を制限することにより、生きていく上で必要なエネルギーを補充しようと、体が自らの筋肉をアミノ酸に分解して糖を作り出すのです。つまり、糖質を制限した状態が長く続くと、エネルギー不足に陥っている状態が続くことから、筋肉もどんどん減ってしまいます。ダイエットを考える上で、基礎代謝を意識している人は多いと思いますが、この基礎代謝は筋肉の量に比例して増えていくものです。そのため、筋肉が減ってしまう状態が慢性的に続くと、基礎代謝もどんどん落ちていきます。結果として「エネルギーを消費できない体」になってしまうのです。 2つ目の理由として、脳にエネルギーがいかないことが挙げられます。プロの将棋棋士は対局の休憩時に、お菓子や食事をしっかりと取っているのを知っている人も多いでしょう。脳がエネルギー源として消費できるのは、糖分だけだからです。つまり、お米を一切食べないなど、糖質の摂取を極端に制限していると、脳のエネルギー源が慢性的に不足している状態になります。いつも疲れてイライラしていたり、寝ても疲れが取れない人は、毎日の食事で必要な糖分を取ることを意識してみましょう。 お米よりも避けるべきなのは脂質 最近では糖質制限ダイエットに注目が集まっているため「糖質を取るのは悪いこと」という考えを持つ人も一定数います。お米は糖質が多く含まれる食品であるため「お米を食べると太る」と考えてしまう人もいるのかもしれません。しかし、これは間違った考え方です。その理由を解説しましょう。 1つ目の理由は、糖分と脂質のカロリーの差です。脂質は3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)の中で、最もカロリーが高くなっています。炭水化物は1グラムあたり4カロリーですが、脂質は9カロリーもあるのです。そもそも、人が太るのは摂取カロリーが消費カロリーを上回っているからなので、ダイエットをするためにはまずはこの状態を脱する必要があります。このことを考えると、糖質よりも脂質を避けた方が、ダイエットには効果的であることがわかるでしょう。 2つ目の理由は、糖質制限ダイエットはリバウンドしやすいということです。糖質制限ダイエットは一時的に糖質の接種量をゼロにする(もしくはごく少量にする)ため、短期間で急激に体重を落とせます。しかし、糖質制限をしていた人が、ダイエットに一区切りをつけて糖質を取った場合、体は一気に糖質を吸収してしまうのです。これらの糖質は脂肪に変換され、体に体脂肪としてついてしまいます。血糖値が急激に上がることでこのような現象が起きるのですが、せっかくダイエットをしてもリバウンドをしては無意味でしょう。 リバウンドしてしまった場合、また糖質制限を始める人もいるはずですが「糖質制限を止めるとなぜ太るのか」というメカニズムを理解していないと、同じことの繰り返しになります。それよりも、お米を上手に食べて、リバウンドしない形でダイエットを続けた方が、体への負担も少なく、しかも無理なく痩せられるはずです。 3つ目の理由として、糖質制限ダイエットは、間違ったやり方をしてしまうと脂質の取りすぎに繋がるリスクがあることが挙げられます。脂質の取りすぎは、動脈硬化にもつながるため注意が必要です。結果として、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こす原因にもなります。心疾患や脳血管疾患は、早期に発見すれば無事に社会復帰できる病気ですが、少しでも発見や処置が遅れると、重大な障害が残ったり、万が一のことに繋がったりしかねない病気です。ダイエットも含め、健康のためにも脂質の取りすぎには注意しましょう。 そして、お米を中心にした食生活であれば、脂質も上手にカットできます。同じ炭水化物であるパンやパスタに比べると、脂質が格段に少ない上に、焼き魚や野菜のお惣菜など、脂質が少ない食材・料理との相性も良いためです。合理的に脂質を避けるためにも、お米をダイエットに積極的に取り入れましょう。 食べないではなくどう食べるかがポイント 結局のところ、お米を一切食べないでダイエットをするのは心身に悪影響を及ぼす上に、リバウンドにもつながります。  また、脂質の過剰摂取に繋がることもあるので、心疾患や脳血管疾患などの重大な疾病を引き起こすリスクも出てくるのです。このような背景を考えると「しっかり食べて、健康的に痩せる」という意味では、お米を食べないのではなく、考えて食べることが正解になります。 その時に意識したいのが「お米とおかずとのバランス」です。ダイエットをする上で意識したい言葉の1つに「PFCバランス」があります。これは、摂取カロリ-における「タンパク質(Protain)」「脂質(Fat)」「炭水化物(Carbon)」の割合を示した数値です。厚生労働省は、生活習慣病予防・改善の指標としてPFCバランスを適正な水準に保つことを提唱しています。なお、厚生労働省が発表する文書においては「エネルギー産生栄養素バランス」という言葉が用いられていますが、基本的に同じものと考えてかまいません。 理想的なPFCバランスは、30歳~49歳の場合、男女ともに「タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%」となっています。なお、脂質に関しては、飽和脂肪酸を7%以下に抑えることが推奨されているので、この点にも注意しましょう。普段の食事でも、理想的なPFCバランスを意識して献立を選ぶようにしてください。炭水化物が50%~60%という点を鑑み、「主食としてご飯を食べ、タンパク質と脂質をおかずで補う」という食事をイメージしましょう。ただし、自分の年齢や体格から見て、基礎代謝分のエネルギーを確保できる状態にした上で、バランスを考えるようにしてください。 そして、ダイエットを意識するなら、脂質を少なくし、タンパク質を多めにした方が満足度は上がります。タンパク質のカロリーは1グラム4キロカロリーと、脂質に比べると格段に低いです。また、筋肉の材料となるため、継続的に取ることで、体に筋肉がつきやすくなります。筋肉がつくと、基礎代謝量も上がるため、結果としてダイエットの効果も出るのです。「肉を食べるのなら、脂身の多い部分ではなく、赤身を選ぶ」「魚を積極的に取り入れれる」など、工夫しましょう。 順番や種類も意識するとなお良し また、ダイエットを意識するなら、お米を食べる順番や種類にも目を向けましょう。そもそも、人が太る=肥満の原因の1つに「血糖値の急激な上昇」が挙げられます。血糖値が急激に上昇すると、ホルモンの一種・インスリンが分泌されますが、これには糖を脂肪に変える働きがあるのです。「お米をたくさん食べると太る」というのは、正確には「お米には糖分がたくさん含まれているため、インスリンの分泌を促し、太りやすくなる」という意味と考えましょう。 一方、食物繊維には糖分の吸収を遅らせる効果があります。そのため、血糖値の上昇も緩やかになり、インスリンの分泌も抑えられるのです。 もし、ダイエットの際にお米を食べるなら、最初に食物繊維をしっかりとるようにしてください。サラダなどの生野菜を食べても良いですし、もずくやめかぶなどの海藻、マイタケやシイタケのキノコ類などにも食物繊維が豊富に含まれています。料理として作る時間があるならぜひ取り組んでほしいところですが、難しいならスーパーやコンビニですぐに食べられる状態のものを買っても十分に効果は期待できます。無理のない方法で、毎日の食生活に取り入れましょう。 また、ダイエットという意味では、白米よりも玄米・雑穀米など食物繊維が豊富なお米を選ぶのをおすすめします。既に触れた通り、食物繊維には糖分の吸収を遅らせる効果があるため、白米よりも玄米・雑穀米を食べた方が、結果として血糖値の上昇も緩やかになるのです。最近は、様々なメーカーが雑穀米を出しているので、いくつか食べてみて、自分の好みのものを探してみると楽しいです。 そして、ダイエットのために運動をしている人であれば、運動前にお米を食べると良いでしょう。お米に含まれている糖質は、体を動かす上で重要なエネルギー源となります。ただし、消化にはそれなりに時間がかかるので、食べる際のベストタイミングは「運動する1~2時間前」と考えておきましょう