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離乳食にお米が最適な理由とは?おかゆにぴったりのお米も紹介

離乳食にお米が最適な理由とは?おかゆにぴったりのお米も紹介

日本では離乳食の開始にあたって、まずおかゆから始めることが推奨されています。赤ちゃんが母乳やミルク以外に初めて口にするものだから、「おかゆのお米にはこだわりたい!」という方は多いのではないでしょうか。この記事では離乳食にお米が推奨される理由と、赤ちゃんのおかゆに合うお米の選び方を紹介します。 離乳食にお米が推奨される理由 まずは離乳食をお米から始めるのはなぜなのか、理由を解説します。 アレルギーの心配が少ない お米がアレルギーの原因となるリスクはゼロではありません。しかし一般的に、お米はほかの食材と比べるとアレルギーを引き起こしにくいとされています。そのため厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド 」でも、最初に与える食材としておかゆがすすめられています。パンや麺類も離乳食に使えますが、パンには小麦粉のほかバターや塩、砂糖などが含まれており、麺類にも塩が含まれています。お米の場合は素材そのものを赤ちゃんに与えられるため、離乳食には最適なのです。 体の成長に欠かせない「炭水化物」が主成分 お米の主成分は炭水化物です。炭水化物は体に必須の栄養素とされる「三大栄養素」のうちの一つで、炭水化物は体の中でブドウ糖に分解されてエネルギーのもとになります。このブドウ糖は、脳を動かすという重大な働きを持つ唯一のエネルギー源です。ちなみにブドウ糖は、体内に大量に貯蔵しておくことができません。お米には炭水化物のほかにも、血や筋肉を形成するたんぱく質、体の調子を整えるビタミン・ミネラルなどが含まれています。 甘みがあって赤ちゃんが受け入れやすい ごはんに含まれるでんぷんは、だ液の中の消化酵素の働きで「マルトース(麦芽糖)」に分解されます。マルトースは甘い糖なので、初めて母乳やミルク以外のものを口にする赤ちゃんも受け入れやすいのです。また、ごはんをよく噛むことでだ液がたくさん出てでんぷんとの結合が強くなるため、より甘みを感じやすくなります。離乳食が進むと粒の残ったおかゆややわらかいごはんを食べさせますが、噛めば噛むほど甘みが出るので赤ちゃんの噛む練習になり、あごやそしゃく力の発達にも役立ちます。 さまざまな食材を合わせやすい 野菜や魚、肉など、さまざまな食材と合わせやすいのもお米の魅力です。赤ちゃんの発達に合わせておかゆに野菜や魚、肉などを混ぜれば、離乳食も進めやすいでしょう。離乳が完了して幼児食に進んでからも、おにぎりにしたり、つぶしたごはんを焼いた「お焼き」にしたりとアレンジは無限大です。 離乳食でおかゆをあげるのはいつまで?時期ごとの進め方 離乳食にお米を使う場合、なめらかにすりつぶした「つぶしがゆ」からスタートします。その後赤ちゃんの成長に合わせておかゆの水分を減らしていき、軟飯、ごはんと進めていきます。一般的に離乳食の開始は生後5~6カ月ごろ、離乳の完了は生後12~18カ月ごろとされています。ただし個人差が大きいので、焦ったり無理強いしたりせずに、赤ちゃんのペースに合わせて進めましょう。 初期(生後5~6カ月ごろ) 「10倍がゆ」をすりつぶしたものを、ひとさじ与えるところから始めましょう。10倍がゆは米1に対して水10で炊いたおかゆです。炊き上がったおかゆを裏ごしし、おもゆ(おかゆの上澄み)で固さを調節してください。生後5~6ヶ月の場合、ヨーグルト程度の固さが目安です。 中期(生後7~8ヶ月ごろ) 離乳食中期の生後7~8ヶ月ごろになると、歯が生え始める赤ちゃんもいます。この時期は歯ざわり・舌ざわりが楽しめるよう、「7倍がゆ」を与えます。7倍がゆとは、米1に対して水7で炊いたおかゆのことです。 後期(生後9~11ヶ月ごろ) 離乳食後期になると、前歯でものを噛み取ったり、歯ぐきでもぐもぐ食べたりできるようになります。この頃から、おかゆは全がゆ(5倍がゆ)が食べられます。5倍がゆとは米1に対して水5で炊いたおかゆで、一般的には私たち大人が食べるおかゆと同じものです。赤ちゃんの様子を見ながら、米1に対して水3~2で炊いた「軟飯」を与えても良いでしょう。 完了期(生後12~18ヶ月ごろ) 離乳食完了期になると、米1に対して水3~2で炊いた「軟飯」が食べられるようになります。軟飯を上手に噛んだり飲み込んだりできるようになったら、大人と同じごはんに挑戦してみましょう。ごはんに慣れたら、おにぎりなども食べられるようになります。 離乳食のお米を選ぶときのポイント 赤ちゃんが食べるものだからこそ、離乳食のお米は選び方にもこだわりたいもの。ここでは離乳食用のお米を選ぶポイントを紹介します。 やわらかめの品種を選ぶ おかゆや軟飯には、やわらかめのお米が良いとされています。特に離乳食初期のころは、ゴックンと飲み込むことに慣れるのが目標なので、やわらかくてつぶしやすい品種が良いでしょう。また、歯が生えていない時期の赤ちゃんも歯ぐきや上あごを使って食べ物をつぶして飲み込むため、粒が残りにくいやわらかめのお米がおすすめです。 もっちり感がそれほど強くないお米を選ぶ お米は品種によって粘り気に違いがあります。赤ちゃんはものを飲み込む力が発達途中なので、おかゆの粘度が高いと飲み込みにくい場合があります。粘り気があまり強くない品種を選ぶと安心でしょう。なお、もち米は誤嚥(ごえん)のおそれがあるため、離乳食の時期には避けた方が無難です。 安全面をチェックする 赤ちゃんの離乳食に使うお米は、種類だけではなく安全面も気にかけてあげたいものです。いわゆる「普通のお米」は一般栽培米と呼ばれ、農薬や化学肥料を使用して栽培されています。一方、お米には「特別栽培米」「有機栽培米(JAS認定)」というものもあります。特別栽培米とは農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に沿って栽培されたお米です。その地区の一般栽培米と比べて、化学合成農薬50パーセント以上、化学肥料50パーセント以上が削減されていると証明されたお米が特別栽培米と表記されます。また有機栽培米(JAS認定)とは、農薬・化学肥料を使用しなくなってから3年以上経過した田んぼで、農薬・化学肥料をまったく使用せずに育てられたお米のことです。登録認定機関の審査をクリアしたお米だけが有機栽培米(JAS認定)と認定され、マークを表示できます。...

「黄色く変色した」「嫌な臭いがする」などお米のトラブルは保存の工夫で防げる!

「黄色く変色した」「嫌な臭いがする」などお米のトラブルは保存の工夫で防げる!

お米を研ごうと思って準備をしたときに「お米の色が変わっている」「お米から変な臭いがする」と感じた経験がある人は多いのではないでしょうか。この記事では、お米の臭いや変色が起きる理由、予防方法などを紹介していきます。 変色したお米に要注意!見た目別の原因と注意点 お米が変色する原因はさまざまです。ここでは見た目の色別に、その原因と注意点を紹介していきます。 黄色に変色 黄色に変色したお米は、アオカビが原因の「黄変米」です。アオカビは肝機能障害や腎臓障害を引き起こす毒素を生成します。この毒素は高熱に強く、炊飯しても殺菌できず残存してしまうので注意が必要です。終戦後、食糧難の時期に外国から輸入した米が黄色く変色しており、配給を行うか否かで多くの議論を呼んだ「黄変米事件」が起きました。この事件を通じ、黄変米の毒性は広く知られるようになったという背景があります。黄変米の原因はアオカビなので、カビ対策を行えば防ぐことができます。お米は古くなると黄色っぽくなる傾向がありますが、黄変米なのか、古くなったからなのかの判断が付かない場合は、食べるのを避けたほうが良いでしょう。特に一部だけが濃い黄色になっている場合やお米が塊になっている場合は、黄変米の可能性が高いため、食べてはいけません。 灰色に変色 灰色に変色した米はカビが生えている可能性があります。お米を研いだときに研ぎ汁が黒っぽく濁るなら、カビの可能性が高いといえるでしょう。お米が灰色に変色する理由には「酸化」もあります。長期間、空気に触れる状態で保存していると酸化が進み灰色がかった色へと変色していきます。カビが原因の場合は食べることができません。カビが生えやすい環境下で保存していなかったかどうかを確認し、自分で判断が付かない場合には食べないほうが無難です。 緑色や青色に変色 緑色や青色に変色したお米もカビが生えている可能性が高いです。ただし、緑がかった透明感のある玄米の場合は「青米」である可能性があります。完熟する直前に収穫された、葉緑素の残ったお米のことで、これが混ざっていることは最適な時期に収穫された証といわれることもあります。もちろん、青米であれば食べることに問題はありません。青米はお米の表面だけが緑がかった色をしており、精米すると普通の白いお米と変わらない見た目になります。よって、精白米の青米はありませんが、七分づき、五分づきなどの割合で精米すると緑色の部分がまだらに残り、判断に迷うことがあるかもしれません。青米の場合は透明感があり、割ってみると中身が白いことが特徴です。色がくすんでおり、カビ臭がする場合は、カビが生えていることを念頭に置いて対処しましょう。 黒い点 お米に黒い点や茶色い点が見られる原因は、栽培中にカメムシが稲を食べたことです。「斑点米」と呼ばれるもので、カメムシに栄養素を吸われて状態が悪いものは精米時に色彩選別機などを使って弾かれ、出荷されないことが多いです。しかし、農家から直接お米を手に入れた場合などは、状態の良くない斑点米が混ざっている可能性はあるので注意しましょう。あまりに状態の悪いものは、栄養成分や食感が劣ると考えられますが、一般的に流通しているものはカメムシによる被害が少ないものなので、食感やうまみが一般のものと比べて劣っていると感じることはないでしょう。斑点米自体は品質や安全性に影響はなく、食べることに問題はありません。 保存している一部のお米だけにカビが生えてしまったら カビが生えたお米は人体に有害なため、食べることができません。では、一部のお米だけにカビが生えて変色しており、周囲のお米は変色していない場合はどうでしょうか。カビは変色しているところだけに生えているわけではありません。カビの胞子は目に見えないほど小さいため、異常がないように見えるお米にもカビが付着している可能性があります。一部のお米がカビにより変色しているなら、周囲のお米にも影響があると考えたほうがよいでしょう。また、カビが生えるほど保管状況が悪いのであれば、目には見えない細菌が繁殖していること可能性も考えられます。「カビが生えている一部だけ取り除けば食べられるのでは」ともったいなく思う人もいるかもしれませんが、カビが生えたお米は衛生上問題があると考え、食べずに廃棄しましょう。 お米を変色させないためにはカビ対策を お米の変色が起きる理由は、大きく分けて「保管中のカビの発生」と「稲に虫が付いたこと」の2つです。このうち「保管中のカビの発生」は保存場所に気を付けることで防げます。お米は湿気を吸収しやすくカビが発生しやすいです。米袋には空気穴があけられているため、未開封であってもそこから湿気が入り込みます。日常的に食べるお米はもちろん、「備蓄していたお米が、いざというときに開けるとカビが生えていて食べられない」などの事態を防ぐためにも、正しい保存場所に保管することが大切です。 カビが発生しやすい条件は「70%以上の高い湿度」「カビのえさとなる栄養分」「20~30度の温度」「酸素」が揃っていること。米自身には水分が含まれており、吸湿性も高いため「湿度」の条件を満たします。また、米自身に「栄養分」がたっぷりと含まれます。このため、保存場所には、「乾燥していること」と「密閉され酸素が限りなくないこと」「低温」が求められるのです。 この2つの条件を満たせるのが冷蔵庫の野菜室です。野菜室はお米が産地で保管されているときの温度に近く、適した温度で保管できます。密閉できるライスストッカーや米びつに移し替え、生ものに接しないように保管するとよいでしょう。乾燥材や珪藻土の除湿剤などを入れておくと湿度によるカビを防ぐことができます。冬など気温の低い季節は、直射日光が当たらない冷暗所での保存も可能です。そのほかにも、「濡れた手でお米を触らない」「計量カップを入れっぱなしにしない」「大量に買い置きしない」などの注意点に気を付けることで、お米のカビを防ぐことができます。 お米から嫌なにおいがする!その理由とは 保存しているお米から嫌な臭いがすることがあります。臭いの原因別に解消方法について説明していきます。 お米に臭いが移っている お米は吸水力が高く、空気中の湿気に混じった臭いをぐんぐん吸収してしまいます。一度吸収してしまうと、お米を研いでも臭いを完全に除去するのは困難です。少し臭い移りした程度であれば健康上の問題はないと考えられますが、臭いの付いたお米は食欲を減退させるため、食べたくないという人が多いでしょう。臭いが付かない工夫が第一ですが、万が一付いてしまった場合は、カレーライスやチャーハンのように濃い味つけで食べるとよいでしょう。 お米の中でも無洗米は特に臭いが移りやすいです。お米は、もみ殻を取り除いて「玄米」になり、胚芽とぬかを取り除いて「精白米」になります。さらに、お米の表面にある肌ぬかを取り除いたものが「無洗米」です。無洗米はコーティングが除去されてお米がむき出しになっている状態になので、精白米と比べ、臭い移りしやすいことが分かっています。無洗米は環境にやさしく時短にもなる優れもの。おいしく食べられるように、保存場所に気を付けましょう。 お米が古い お米が古いとぬか臭く感じることがあります。収穫から1年以上が経過した古米は、ぬかに含まれる脂肪の酸化が進みがちです。人体に影響があるわけではありませんが、酸化が進んだ古米の臭いはお米を研いでも取ることができないため、どうしても気になる場合は、炊飯時にお酒や酢、みりん、ハチミツなどを入れて臭い消しをしたり、臭い移りしてしまったときと同様に、お米の炊き方や利用方法を工夫して食べるとよいでしょう。古米はパサつきがちなので、パエリアやリゾットに向いています。また、精米しなおすとぬかを取り去ることができ、臭いを減らすことができます。 ぬかがたくさんついている ぬかや胚芽の栄養素を残すために、精米の割合を七分づき、五分づきなどにしている場合、ぬか臭いと感じてしまう可能性があります。この場合は精米しなおすことでぬかを取り去ることが可能です。 カビが生えている 変色の原因になるカビは、臭いの原因にもなります。カビ臭さを感じたら、カビが生えていないか、カビが生えやすい環境で保存していなかったかをよく観察しましょう。カビが生えている場合は食べることができません。 お米の臭い問題を解決するには お米から嫌な臭いがする原因は、大きく分けると「臭い移り」「ぬか」「カビ」の3つだということが分かりました。ここからは、「臭い移り」と「ぬか」の臭い問題を解決する方法を紹介します。...

無農薬栽培じゃなくても大丈夫!減農薬栽培でもお米が安心して食べられる理由とは

無農薬栽培じゃなくても大丈夫!減農薬栽培でもお米が安心して食べられる理由とは

「家族の健康のために、できる限り安全な食べ物を選びたい」というのは何ら不思議ではありません。その中で「できれば、無農薬のお米を選びたい」という人だっているはずです。しかし、お米に関しては、必ず無農薬でなくてはいけないわけではなく、減農薬でも十分に安全に食べられます。今回は「無農薬」と「減農薬」の違いを踏まえ、なぜ減農薬のお米でも、安全に食べられるのかを解説しましょう。 まずは無農薬と減農薬の違いを理解しよう そもそも、無農薬と減農薬は似て非なるものです。まず、無農薬ですが「生産期間中に全く農薬を使わない」ことを指します。一方、減農薬は「使用する農薬を削減して栽培した」ことを指します。いずれにしても、農薬を全く使わない、もしくは控えて作っている農作物であるため、安全に思えるかもしれません。しかし、そうとも限らないのが実情です。例えば、自分の田んぼでは全く農薬を使わないでお米を作っていたとしても、実際には土壌に農薬が残っていたり、他の田んぼや畑から飛散してくる可能性はゼロではありません。 また、農薬を削減すると言っても「どのくらい農薬を減らしているのか(量を減らすか、回数を減らすか)」「農薬使用量を減らしたとしても、毒性が高ければ意味がないのでは」など、かなりあいまいな部分があるでしょう。結局のところ、無農薬栽培、減農薬栽培であっても、農薬が入っていないという100%の保証はできません。そのため、消費者に対して誤解を与えないよう、現在では、お米を含む農作物を販売する際に「無農薬」「減農薬」という表示を用いてはいけない決まりになっています。 ただし、この規定はあくまで消費者に対して誤解を与えないためのものです。農薬を使用していない農産物には「農薬:栽培期間中不使用」、節減対象農薬を使用していない農産物には「節減対象農薬:栽培期間中不使用」、節減対象農薬を節減した農産物には「節減対象農薬:当地比○割減」又は「節減対象農薬:○○地域比○割減」と表示するなど、一定の条件を満たせば「農薬未使用」、「農薬無散布」「農薬を使ってません」「農薬節減」「農薬節約栽培」という表示を用いることは可能です。減農薬はどちらかと言えば「農薬節減」「農薬節減栽培」の意味合いに近いものと理解しましょう。 白米として食べる分には比較的安全 結局のところ、どんなに注意して米作りに取り組んでいたとしても、全く農薬が混じらないという保証はできません。「それだと、安全なお米は食べられない」と思うかもしれませんが、実際はそこまで悲観することはないという話もしましょう。お米を食べるといっても、厳密には収穫した籾殻を籾すりして玄米し、さらにそこから精米して白米にしたものを食べることが多いはずです。そして、農薬を用いて作ったお米であったとしても、精米し、白米として食べる分には比較的安全だという話をしましょう。 愛知県衛生研究所が行った、農薬が検出された玄米を調理した場合に除去できる残留農薬の量についての実証実験のデータを紹介します。まず、玄米を精米し、白米にした段階で、平均83%の残留農薬が除去されました。さらに、米とぎをした後は91%、炊飯をした後は95%の残留農薬が除去されています。つまり、実際に食べる段階になると、残留農薬があったとしてもほとんど残っていない状態になります。ぬかをそのまま食べるのであれば、残留農薬の量を気にする必要があるかもしれませんが、お米を炊飯して食べるのであればそこまで神経質になる必要はありません。  また、厚生労働省は、市場に流通するお米も含めた食品に対して、定期的に残留農薬の検査を行っています。これは、自治体と連携して検査予定数を決めて行うもので、基準値を上回った場合は、その食品を回収したり、原因究明や再発防止を指導したりなどの措置が講じられる大変厳しいものです。ほとんどの生産者は、残留農薬が基準値を下回るよう、厳密に管理をした上でお米づくりに取り組んでいます。流通段階で何者かに農薬を混入されたなど、かなり特殊な事情がない限りは、一般に流通しているお米はほぼ安全に食べられます。 特別栽培米とは 「白米が比較的安全なのはわかっているけど、できることならより安全なものを選びたい」という人は、国の制度に基づく認証を得たお米を選ぶと良いでしょう。お米をはじめとした農作物の認証の1つに、農林水産省が定める「特別栽培農作物」が挙げられます。これは、その農作物が生産されている地域における節減対象農薬および化学肥料の使用状況に比べ「節減対象農薬の使用回数が50%以下かつ化学肥料の窒素成分量が50%以下」という条件を満たすよう栽培された農作物のことです。なお、特別栽培農作物と認定された農作物は、農林水産省新ガイドラインによる表示を行わなくてはいけません。 具体的には、「農薬」「化学肥料(窒素成分)」「栽培責任者の情報(氏名・所在地・連絡先)」「確認責任者の情報(氏名・所在地・連絡先)」「精米確認者の情報(氏名・所在地・連絡先)」を明示することになります。そして、特別栽培米の場合、農薬や化学肥料の使い方によっても、表示方法が全く異なることを覚えておきましょう。栽培期間中に農薬(節減対象農薬を含む)を一切使わなかった場合は「農薬:栽培期間中不使用」「化学肥料:栽培期間中不使用」と記載されます。一方、節減対象農薬以外の農薬を使った場合は「節減対象農薬:栽培期間中不使用」、節減対象農薬および化学肥料をその地域の使用状況の5割以下で使っていた場合は「節減対象農薬:生産地域比〇割減」「化学肥料:生産地域比〇割減」と記載される仕組みです。 なお、これらの情報は、お米が入っている袋に一括表示されていることが多いです。もちろん、スペースの都合などで一括表示できない場合は分けて書かれることもありますし、閲覧できるURLが記載されることもあります。いずれにしても何らかの方法で、消費者が確認できる形になっているはずなので、特別栽培米を購入したい場合は一度確認しましょう。本来の意味合いである「無農薬」に近いものが良いのなら「農薬:栽培期間中不使用」「化学肥料:栽培期間中不使用」と表示されているものを選ぶと良いでしょう。一方「減農薬」に近いものが良いのなら、「節減対象農薬:生産地域比〇割減」「化学肥料:生産地域比〇割減」と表示されているものを選びましょう。 有機農産物とは お米を含めた農産物を選ぶ際「有機」「オーガニック」「自然」などといった言葉を基準に選ぶ人もいるかもしれません。しかし、これも先ほど触れた無農薬、減農薬の話と同じで「どういう形で生産されたものかわからない」という難点を有しています。そこで、1つの基準としてほしいのが、お米が有機農産物としての認定を受けているかどうかです。つまり、禁止農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術などを使用せず、種まきまたは植え付け前2年以上、有機的管理を行った水田や畑で生産されたものを差します。 なお、実際に認定を受けるためには、  農林水産省に認可された登録認定機関による検査を受け、合格しなくてはいけません。また、認証を受けていないにも関わらず、有機農産物を意味する有機JASマークを使用したり、「有機米」と表示されると、処罰されます。ある意味、特別栽培農作物として認証されるよりもはるかに高いハードルです。手に入る限りで、できる限り安全なお米を食べたいと思うなら、有機農産物としての認証を受けているかどうかを1つの基準にしましょう。 顔が見える生産者から購入しよう できる限り、農薬が残留している可能性が低いお米を選びたいなら、有機農産物や特定栽培農作物として認証を受けているかを1つの基準にするのはとても合理的です。しかし、認証を受けるためにはかなり高いハードルをクリアしなくてはいけないので、すべての農家が受けられるわけではありません。 有機農産物や特定栽培農作物としての認証は受けられていないけど、きわめてそれに近い環境でお米を作っていたことだって考えられます。加えて、先ほど触れたように、玄米の段階で残留農薬があったとしても、実際に口に運ぶ段階になれば、きわめて低い水準まで減るものです。「何が何でも有機農産物や特定栽培農作物でないと」と気負う必要はないでしょう。一般的にいう減農薬の範疇に含まれるお米であれば、十分及第点は取れるはずです。 むしろ、残留農薬よりも気を付けるべきことがあります。それはお米の鮮度です。仮に有機農産物や特定栽培農作物として認定を受けている農家のお米であっても、精米から出荷まで時間が経っているものはやはりおいしくありません。お米も食品である以上、鮮度が高いに越したことはないのです。 そして、新鮮なお米を手に入れたいと思うなら、買う場所にも注意しましょう。スーパーやドラッグストアでお米を買うのは便利ですが、商品の回転があまりよくないお店の場合、入荷してから実際に売れるまで時間が経っていることも珍しくないでしょう。もちろん、スーパーやドラッグストアも商品の管理には力を入れているため、入荷からあまりに時間が経ったお米は撤去するか、値段を下げて売り切るなどの工夫をしています。それでも、古いお米に当たってしまう可能性はゼロにはできません。 そこで、よりおいしいお米を手に入れようと思うなら、顔が見える生産者から購入するのをおすすめします。最近は、農家をはじめとした食品生産者も、情報発信に力を入れています。WebサイトやSNSを使っている食品生産者も珍しくありません。「どのような環境でお米を作っているか」「農薬や化学肥料はどのように扱っているか」などの細かい部分についても、情報が明らかにされていることが多いので、チェックすると良いでしょう。 また、お米をより新鮮に食べるためには、精米した後できる限り空気に触れさせないことが重要になります。空気に触れると酸化が進んでしまうため、味も落ちてしまうのです。最近では、空気に触れさせないために、注文してから精米して真空パックにする取り組みをしている生産者もいます。このような生産者からお米を買うと、満足がいくお米が手に入るでしょう。

実はヘルシーな食品!理想的な栄養食としてのお米

実はヘルシーな食品!理想的な栄養食としてのお米

痩せたいと思っている人にとって、糖質はしばしば怨敵のように扱われます。特にお米は糖質の代表格として、ダイエットの際は真っ先に食卓から除かれてしまうこと少なくありません。しかし、お米を始めとした糖質は、人間が活動するうえで欠かせない栄養源です。過度な糖質制限は健康を損なうばかりか、美容にとっても決して良くありません。そこで今回は、制限されがちなお米の栄養についてあらためて考えてみることにします。 栄養素の宝庫!お米は理想的な健康食材 お米はとても栄養価の豊富な食べ物です。お米が持つ栄養素のなかで、最も知られているのが糖質ではないでしょうか。糖質とは、人体のエネルギー源を形成する重要な栄養素のひとつで、炭水化物の一部です。炭水化物は、糖質と食物繊維に分けることができ、糖質がエネルギー源を、食物繊維は腸内環境の改善といった役割を担っています。そして、お米には糖質と食物繊維の両方が含まれており、お米だけでエネルギー源と腸内の掃除という二役を担っているのです。 糖質や炭水化物の代表格として知られるお米ですが、実は糖質以外にもさまざまな栄養素が含まれています。たとえば、タンパク質やビタミン、カルシウム、鉄分などさまざまです。いずれの栄養素も、人間が元気に活動するうえでは欠かせない物質です。タンパク質は血や骨の形成に不可欠ですし、ビタミンやカルシウム・鉄分などのミネラルは細胞や臓器が健康的に活動するのに重要な役割を果たしています。お米には、そうした人体にとって不可欠な栄養素が一挙に含まれているのです。 また、お米は炭水化物だから太りやすいと考えている人も多いのではないでしょうか。実はお米は、炭水化物のなかでも太りにくい食材だといわれています。パンや麺類と比べて、お米には塩分やコレステロールは含まれていません。また、糖質は人体のエネルギー源であるため、摂取しても優先的に消費されます。そのため、お米はパンや麺類より太りにくい炭水化物だとされ、ダイエットでバランスの良い食事を取るためには、むしろお米を中心に献立を考えたほうが効率的という指摘もあるほどです。 茶碗一杯分のカロリーはパン1枚よりも低く、低カロリーでもあるのがお米の特徴です。お米を主食として、おかずやみそ汁などの一汁三菜を基本とした和食は、世界的にもヘルシーな健康食として知られています。そして、その和食の中心にあるのがお米です。お米を基本に食事を考えることで、糖質やタンパク質、ビタミン、脂肪など、栄養をバランスよく補給することができます。もし和食のなかにお米がなかったら、お米のでんぷん質の代わりに脂質や糖質を過剰に摂取することになっていたかもしれません。そのため、お米は和食に欠かすことのできない、理想的な健康食材だとさえいうことができるのです。 摂り過ぎには注意だが!糖質不足も危険 お米を始めとした糖質は、摂り過ぎると太りやすいというイメージがあります。確かに、糖質の摂り過ぎは健康にとって良くありません。エネルギー源のひとつではありますが、糖質を摂り過ぎると太りやすくなるため、生活習慣病のリスクも高まってしまいます。そもそも、なぜ糖質を摂ると太りやすくなるのでしょうか。それは、食後の血糖値が急激に上昇してしまうからです。 血糖値が急激に上昇すると、体内ではインスリンという物質が大量に分泌されます。インスリンが分泌されることで、上昇した血糖値は徐々に元に戻ります。しかし、糖質を過剰に摂取していると、エネルギー源としては使われない、糖質の余りのようなものが出てきてしまい、この余剰の糖質がインスリンによって中性脂肪に変えられてしまうのです。中性脂肪はそのまま体内に蓄えられるので、糖質を過剰に摂取すると太りやすくなるという結果になってしまいます。 このように、糖質の摂り過ぎは太り過ぎにつながり、太り過ぎれば糖尿病を始めとしたさまざまな生活習慣病のリスクが高くなります。しかし、だからといって糖質を制限して、摂取しないようにすれば健康的になれるというわけではありません。なぜなら、糖質不足も健康を損なう大きな原因になり得るからです。 低血糖症によるめまいや動悸 糖質は人体のエネルギー源です。車にとってのガソリンのようなもので、ガソリンがなければ車が動かないように、糖質がなければ人体も活発に動くことができません。特に脳が活動するのに糖質は欠かせない栄養素のひとつです。糖質が分解されて生じるブドウ糖は、脳にとって重要なエネルギーになる栄養です。そのブドウ糖が不足すると、脳は低血糖という状態になります。低血糖とは、要するに脳のエネルギー不足です。低血糖になると、軽い症状では悪寒や空腹感を生じ、重くなればめまいや震え、動悸、そして症状が悪化すると意識障害を引き起こすケースもあります。 口臭や体臭が強くなるリスク 厳しい糖質制限は口臭や体臭にも良からぬ影響を与えます。糖質制限によってエネルギーが不足すると、それまで体内に蓄積されていた脂肪がエネルギーとして消費されます。その際、ケトン体という物酸性質が生み出され、このケトン体が口臭や体臭を悪化させる原因物質となってしまうのです。生成されたケトン体は血液内で増殖し、血中の酸性濃度を高めます。これが独特の甘酸っぱい臭いの原因となり、刺激の強い口臭や体臭にもつながってしまうのです。また、過度な糖質制限は体内の水分濃度も低下させます。その結果、口内が乾いて雑菌が増えやすくなり、排水溝のような口臭の原因になることがあります 不健康な痩せ方をしてしまう 糖質を制限すれば、体重は落ちるかもしれません。しかし、たとえ痩せたとしても、健康的に痩せられたかどうかには疑問符がつきます。というのも、糖質制限によるダイエットは、筋肉量の低下を招きかねないからです。糖質を始めとした過度な食事制限をすると、人体は筋肉からエネルギー源を作り出します。そのため、過剰な食事制限を伴うダイエットをすると、筋肉量が低下して痩せた後の身体が不健康な印象になってしまうことがあります。 ダイエットやカラダ作りにも!お米が持つ可能性 ダイエットやカラダ作りのために食生活を考えるなら、むしろお米を中心に献立を組んだほうが効率的だといえます。もちろん、摂り過ぎは禁物ですが、適切な量の摂取を心がければ、お米はダイエットやカラダ作りの手助けになってくれる食材です。 お米がダイエットの手助けになる理由1:消化がゆっくりで腹持ちがきく お米はパンや麺類に比べてゆっくり消化・吸収されるといわれています。これは、パンや麺類が粉から作られるのに対して、お米は粒の状態で食されることが多いからだとされています。消化や吸収がゆっくり進むので、お米はパンや麺類より腹持ちが良い食材です。そのため、間食を控えることができ、暴飲暴食の抑制にもつながります。 お米がダイエットの手助けになる理由2:食物繊維が腸内環境を整えてくれる お米には糖質だけではなく、食物繊維も豊富に含まれています。お米の食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維なので、消化・吸収されずに腸内まで届きます。腸内に到達した食物繊維は、水分を吸収して便を増やす作用があるので、お米を摂ることでダイエット中に便秘になりにくいという効果が期待できるのです。また、お米の食物繊維は腸内善玉菌の餌にもなるので、腸内環境を整えるという役割も果たしてくれます。お米は過剰摂取すると太りやすくなるといわれますが、適度な量を摂取すれば腸内環境を改善してむしろ痩せやすい体質へと導いてくれることもあるのです。 お米がカラダ作りの手助けになる理由1:お米の植物性タンパク質 お米はカラダ作りにも役立ってくれる食材です。トレーニングで健康的なカラダを手に入れたい場合、一般的にはタンパク質を積極的に摂ると良いといわれます。もちろん、筋肉の増強や美容のために、タンパク質の積極的な摂取は欠かせません。タンパク質は骨や筋肉といった組織の組成を促します。しかし、タンパク質だけ摂っていても、筋肉の増強にはつながりにくいことも確かです。というのも、人体にはタンパク質を処理できる容量があり、その容量を超えてタンパク質を摂取できないようになっているからです。 むしろ、タンパク質を一定量超えて摂取してしまうと、脂質として体内に蓄積され、かえって太りやすい体質になってしまうこともあります。しかも、過剰摂取は腎臓や肝臓にとっても負担になるので、カラダ作りに良いからといっても、タンパク質だけで食事を済ませるのはおすすめできません。カラダ作りで大切なのは、食生活のバランスです。特にお米は栄養価のバランスが良く、しかもタンパク質も豊富に含まれています。肉や魚といった動物性の食材でタンパク質を補おうとすると、どうしても脂質や不飽和脂肪酸まで一緒に摂り過ぎてしまいます。その点、お米のような植物性タンパク質を中心に摂取していれば、脂質や不飽和脂肪酸を摂り過ぎる心配もありません。 お米がカラダ作りの手助けになる理由2:筋肉の合成に役立つ 糖質を抜いている状態でトレーニングすると、体内のタンパク質がエネルギー源として分解されてしまいます。つまり、糖質というガソリンが体内に備蓄されていないので、ハイオクのような別の燃料で補おうとするわけです。しかし、タンパク質は本来、筋肉の合成に不可欠な栄養素です。それが燃料として消費されてしまうので、糖質を抜いてトレーニングすると、筋肉が合成されにくくなってしまうことがあります。 効率的なトレーニングをするためには、しっかり糖質を摂取して、エネルギー源を確保しておくことが大切です。もちろん、お米だけを摂っていれば良いのではなく、肉や魚といった動物性タンパク質や、食物繊維が豊富な野菜などを摂取することもカラダ作りには欠かせません。そうしたバランスの良い食生活にとって、栄養価の豊富なお米は主食として大きな役割を果たしてくれるはずです。 集中力アップの効果も?朝食にお米を食べよう 食事は1日3食、規則正しく摂ることが健康の秘訣といわれます。なかでも、朝食を食べるか食べないかで、1日の集中力が大きく変わってくるという話もあります。というのも、目覚めた直後は脳が欠乏状態になっており、うまく働いてくれません。脳のエネルギー源は体内に貯蔵しにくいブドウ糖だけなので、睡眠中にエネルギーを使い果たして起き抜けは欠乏状態になっていることが多いのです。もし、そのまま朝食を食べずに仕事や学校に行ってしまうと、午前中は脳がうまく働かず集中力も落ちてしまうでしょう。だからこそ、1日の始まりに朝食を食べて、脳にエネルギー補給してあげることが大切なのです。...

お米を食べるメリットとは?デメリットも工夫次第で解消できる!

お米を食べるメリットとは?デメリットも工夫次第で解消できる!

お米を基本とした食事は健康的で体に良いイメージがある一方、「太りやすいのでは」「準備が面倒」といった声も聞かれます。この記事では、お米を食べることのメリットやデメリットを解消するためのコツについて紹介していきます。 お米は栄養バランスの取れた優秀食材! 日本人の主食であるお米には、多くの栄養成分が含まれています。主成分の炭水化物は、体内でブドウ糖に分解されて重要なエネルギー源となります。特に、人間が1日に消費するエネルギーの約18%を使うとされる脳は、ブドウ糖以外のものをエネルギー栄養素にすることができないため、脳を働かせるためには、ブドウ糖が必須です。炭水化物のほかに、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも豊富に含まれており、バランスの取れた食材だといえます。さらに、お米は飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含みません。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は摂取しすぎると悪玉コレステロールを増やし、心臓疾患へのリスクを高めるといわれていますが、1日3食をお米を食べてもこうした心配をする必要はありません。 お米を食べると副菜も豊かに! アメリカのベイラー医科大学などの研究チームが2014年に「Food and Nutrition Sciences」に発表した調査結果によると、米食を食生活の基本にしている成人は、飽和脂肪酸や糖分の過剰な摂取が少なく、カリウム、マグネシウム、鉄、葉酸、食物繊維の摂取が多い傾向にあるということが分かりました。お米には飽和脂肪酸が含まれないため摂取が少ないのは理解できますが、お米にほとんど含まれていない栄養素の摂取が増えるのはどういうことなのでしょうか。食事をするとき、多くの人は主菜や副菜、汁物と一緒にお米を食べます。お米に合うおかずや汁物を用意することで、自然と野菜や大豆、肉、果物などを多く食べる食生活になり、さまざまな栄養素を摂取できると考えられています。 腸内環境を整える効果も 「腸内環境を整える栄養素といえば食物繊維では」と思う人が多いかもしれませんが、実は腸内の善玉菌が好んで食べるのはお米に含まれる難消化性でんぷん。同じく善玉菌のえさとなる水溶性食物繊維は、食べ物に含まれる量が少ないため十分な量の摂取が難しいのに対し、難消化性でんぷんは1日3食ご飯を食べることで気軽に摂取できます。腸内環境を整え、便秘対策をしたい人にとっても米食はぴったりです。 「お米は太りやすい」は間違い!米食で肥満を防ぐことも可能 「お米を食べると太りやすい」と聞いたことはありませんか。以前は、食事からお米を抜く炭水化物抜きダイエットが注目されたこともありましたが、現在ではお米を抜くことはむしろ逆効果で肥満リスクを高める可能性もあるといわれています。米食で肥満を防ぐことができるという調査結果も発表されているのです。 間食予防にも!実はご飯は太りにくい お米は粒のまま摂取するため、小麦など粉で摂取するものと比べると時間をかけてゆっくりと消化、吸収されます。腹持ちが良く、お腹が空きにくいので間食の回数を減らすことができ、食べ過ぎを防ぐことが可能です。また、体に脂肪をためるホルモンがゆっくり分泌されるため、結果的に体脂肪の蓄積も抑えられるといわれています。日本の研究チームが136カ国を対象に米の摂取量と肥満レベルを調査したところ、米の摂取量が多い国(1日平均150g)では肥満レベルが低く、米の摂取量が少ない国(1日平均14g)では肥満レベルが高いことが分かりました。精白米150gは炊くと茶碗3杯分(軽くよそった場合)に相当するため、お米を抜くのではなく3食軽めに食べることが肥満レベルを上げないことに効果的だといえるでしょう。 肥満は今や世界的な問題です。世界肥満連合は、肥満の人は急増しており、2021年現在、1975年と比較して約3倍に上ると発表しています。2016年の調査では、過体重(BMIが25以上30未満)の成人は世界で13億700万人、肥満(BMIが30以上)の成人は6億7100万人です。2025年までに世界の成人人口の5人に1人が肥満になるという予測がされており、うち3分の1に当たる人は医学的な介入が必要なBMI35以上になるだろうといわれています。過体重や肥満は心疾患、2型糖尿病、がんなどを引き起こすリスク要因です。新型コロナウイルス感染症を重症化させるリスクとして肥満が取り上げられていたことを記憶している人も多いでしょう。体形維持だけでなく、健康増進のためにも、お米を食事に取り入れることのメリットが大きいと分かります。 お米は保存期間が長い!炊いた後は冷凍保存も可能 米袋には精米を行った年月日のみ書かれており、賞味期限や消費期限の記載はありません。これはお米が生鮮食品であり、食品表示法で表示の義務がないとされているからです。一般的にお米をおいしく食べられる期間は、春夏なら精米後2週間から1カ月、秋冬は1~2カ月程度といわれていますが、カビや虫、保存方法に気を付ければそれ以上の保管も可能です。また、玄米は白米よりも酸化のスピードが遅いので、さらに長い期間保管できます。 炊いた後に余ってしまったお米は、冷凍保存をすると1カ月程度食べることができます。炊き立てのご飯を湯気ごとラップで包み込み、粗熱が取れてから冷凍庫に入れましょう。1食分ごとに冷凍しておけば、お米を炊くのをうっかり忘れてしまったときも役立ちます。解凍時には自然解凍を行ってから電子レンジで温めるとよいでしょう。電子レンジだけで解凍するよりも水分が蒸発しすぎず、ふっくらとしたご飯を味わうことができます。 お米を食べるデメリットと解消方法を紹介 バランスよく栄養を取ることができ、肥満を防ぐ効果が期待できるお米。いいこと尽くしのように見えますが、人によってはデメリットと感じてしまうポイントや注意点もあります。 デメリットその1「パン食より手間がかかる」 パン食が「トーストするだけ」「そのまま食べられる」のに対し、米食はお米を計量して研ぎ、水に浸して炊飯してやっとできあがります。急いでいるときにお米を炊き忘れていることに気付いても、すぐに食べることはできません。用意に時間がかかるという理由で米食を避けている人も多いのではないでしょうか。全国農業協同組合中央会(JA全中)が2014年に調査した「朝食に関する意識調査」では、朝食に最もよく食べるものについて、39%が「ご飯(お米)」、50%が「パン」と回答しています。朝食に「パン」を選ぶとして「手軽に食べられるから」と答えた人が92%に上っていることもポイントです。 無洗米を選べば準備が簡単に ご飯が炊けるまでの段階の中で、まず省略できるのはお米を研ぐことです。無洗米を選べばお米を研ぐ必要はありません。元々無洗米は、米のとぎ汁による水質汚濁を防ぐ目的で開発されました。お米を研ぐ手間が省けるうえに環境問題にも配慮することができる一石二鳥の商品なのです。無洗米を水に浸すときは通常の精白米よりも水を少し多めの量にするとよいでしょう。次に計量の手間も省いてしまいましょう。時間のあるときにお米を計量して小分けにしてから冷蔵庫で保存しておけば、お米を炊きたいときにすぐ準備することができます。また、計量機能付きのライスストッカーを使えば、指でレバーを押すだけで必要量を測ることができて便利です。これでお米を計量して研ぐ手間を減らすことができます。夜に炊飯器をセットしておけば、朝の準備にも手間取りません。 デメリットその2「塩分が高めの副菜、汁物を食べてしまう」 お米を主にした食事の中でも和食は塩分が高くなりがちなものとして知られています。例えば、高血圧学会の定める食塩摂取量の推奨量は1日に6g未満ですが、味噌汁1杯に含まれる塩分の量はおおよそ1.5~2gです。1日2回お味噌汁を飲むと塩分を3~4g程度摂取してしまうことになります。そのほかにも、焼き魚や漬物、醤油を使う煮物など、塩分が含まれるメニューが和食に多いことは確かです。 塩分に気を付けた食べ方、おかず選びを 和食を調理するときによく使う醤油や味噌は、減塩タイプのものが販売されています。塩分の摂りすぎが気になるならこうした商品を使うとよいでしょう。また、味噌汁をよそうときには具を多めに、汁を少なめにするなどの工夫をすることで、摂取する塩分量を減らすことができます。醤油やソースを食卓に置いているとたっぷり使いすぎてしまうので、食卓に置かないようにするのもポイントです。調理の段階で味付けを行い、後から各自で味付けを行わないようにしておきましょう。出汁、大葉などのハーブ類、コショウなどの香辛料、ポン酢などの酢・柑橘類を調理に使うと塩分を控えめにすることができます。 お米の食べ過ぎによるリスクは運動と食べ方で解消可能 肥満リスクを防ぎ、栄養バランスの良いお米ですが、食べ過ぎは禁物です。国立国際医療研究センター、国立がん研究センターなどの研究チームが、45〜74歳の男女約6万人を平均5年間追跡した調査によると、米飯摂取が多くなると糖尿病発症のリスクが上昇する傾向がみられました。お米を炊いた米飯の量が1日1杯強(165g)のグループに比べ、1日3杯(420g)のグループでは糖尿病の危険性が1.48倍に、1日4杯(560g)のグループでは1.65倍になったという結果が出ています(2010年10月「American...

せっかく購入したお米に虫が!お米の保存は防虫対策が必須!

せっかく購入したお米に虫が!お米の保存は防虫対策が必須!

家族が多い場合やお米のセール日などは、5~10kgの大きめサイズを購入することもあるのではないでしょうか。まとめて購入しておけば、重いお米を何度も持ち運ぶ必要がありません。ただ、正しい保存方法をしていなかったことが原因でお米に虫がわき、困ったという体験をする人も多いようです。そこで、本記事ではお米の防虫対策について詳しく解説します。 お米に虫がわく3つの原因 虫がわいたお米のおいしさは落ちてしまいますが、虫をすべて除去すれば食べることができます。ただ、せっかく購入したお米に虫がわくのは気持ち的に良いものではないと感じる人は多いのではないでしょうか。お米に虫がわく原因を知って、あらかじめ害虫対策しておきましょう。 収穫前後の稲穂に卵が産みつけられていた お米にわく虫の卵は、米粒の中に産みつけられています。そのため、一見しただけでは気づかないことが多いですが、卵を産みつけられた米粒は割れやすいので、精米時に廃棄物としてそのまま除去されるケースも少なくありません。しかし、卵を産みつけられた米粒を発見するシステムはまだ精米機に搭載されていないので、すべてを取り除くことができないのが現状です。除去できないまま保存していると、20度以上の気温であれば約1カ月程度で孵化します。わいた虫は米粒を食べながら成長し、成虫になると再び米粒に産卵という繰り返しです。こうなってしまうと、気づいたときには保存してあったお米のほとんどが食べられない状態になる可能性もあります。 米袋を破って侵入 米袋には保存のために小さな通気穴が作られていることが多いです。そのため、お米のニオイに敏感な害虫が穴から侵入して被害に遭ってしまうこともあります。米袋も進化しており、害虫の侵入を防ぐために限界まで穴を小さくしたり、逆止弁をつけたりと工夫がされるようになりました。 米袋を食い破って侵入 害虫のなかには「入口がなければ作れば良い」とばかりに米袋を食い破って侵入するものもいます。1カ所でも穴が開いてしまえば、ほかの害虫も簡単に侵入できてしまうので、早期発見できなければ被害が大きくなりがちです。つまり、米袋のまま保存をしておくことは非常にリスクが高いといえるでしょう。 お米を食べてしまう害虫は主に2種類 お米に卵を産みつける害虫は、主に2種類います。どちらも1回の産卵で数百個の卵を産みつけるので、米袋の中に発生すると大変です。こちらでは、お米にわく害虫について詳しく紹介します。 濃い茶色が目印のコクゾウムシ コクゾウムシは体長3mm前後で、濃い茶色から黒色の体色をしています。ゾウの鼻のように長く伸びている口先で米粒に穴を開け、卵を産みつけるのが特徴です。ちなみに、1回で産卵するのは約400個前後といわれており、米粒1個につき1つの卵を産みつけます。つまり、コクゾウムシが米袋内に侵入している場合は、ほとんどが卵入り米粒と考えても良いでしょう。コクゾウムシにとって快適な環境は気温が20~30度、湿度が70%程度という状態です。適度に暖かで、湿度が多いキッチンなどはコクゾウムシにとって最適の産卵場所といえます。 白い糸を吐くノシメマダラメイガ ノシメマダラメイガは体長1cm前後の小さな蛾で、ぬか部分や胚芽部分などお米の表面に産卵します。コクゾウムシは成虫になって米粒から出てきますが、ノシメマダラメイガは孵化するとイモ虫になり、さらに成長してサナギ、成虫へと変化するのが特徴です。孵化から成虫になるまでの期間は数週間~1カ月半といわれています。イモ虫になると体はクリーム色、頭は赤色という目立つ色になるので発見しやすいかもしれません。 サナギになる際、白い糸を吐いて米同士をくっつけるので、この段階で発見した場合は害虫を除去してもお米は食べられなくなっている可能性があります。米粒に産卵されていない場合でも、保管場所の近くに卵があった場合は孵化したイモ虫が米袋を食い破って侵入するので油断できません。成虫の寿命は1週間程度と短いですが、1回の産卵で200個前後の卵を産みつけることから、一気に増えてしまいます。 もしお米に虫がわいているのを発見したときは? 米袋を開けたときに虫がうようよしているのを見てしまったら、思わず捨てたくなる人もいるかもしれません。ただ、お米は10kg程度であれば数千円と決して安い金額の食べ物ではありませんし、虫を除去すれば食べることができるものです。大切な食べ物なので、サッと虫を片付けて保管方法を見直しましょう。 お米にわく害虫には毒性はない 食べ物であるお米にわく虫には毒性がないので、除去さえしてしまえば食べることも可能です。また、万が一、虫をすべて取り除くことができず、食べてしまった場合でも人体に悪影響が出ることはありません。ただ、甲殻類やダニ、ガなどのアレルギーがある人は症状がでることもあるので食べないほうが無難でしょう。 大量にわいている場合は水やザルで取り除く 害虫の発生に気づいていなかった場合、米袋の中に大量の虫がいる可能性があります。そういったときは、お米をたっぷりとした水に入れ、害虫のみを洗い流すのが有効です。また、お米をとぐ際にザルを使用してお米と害虫を分離させることもできます。水洗いをしたお米は乾燥させるために陰干しをしましょう。陰干しにするのは、直射日光はお米を劣化させる原因になるからです。 大きな害虫は割りばしやピンセットで直接つまんで取り出す 小さな虫は捕まえるのも大変ですが、大きめの成虫やイモ虫であれば割りばしやピンセットでつまみ出すことも可能です。大量にいる場合はある程度取り除いてから水やザルで除去する方法が効率的でしょう。 虫を除去後のお米は味付けをして食べるのがおすすめ 害虫被害を受けたお米は鮮度や味が落ちてしまうため、そのまま炊いて食べてもおいしいとはいえません。たとえば、食感がパサパサになっているのが感じにくくなるように炒飯にしたり、炊き込みごはんにしたりと調理したうえで食べるとお米の劣化も気になりにくいです。 自宅でできる簡単虫除け対策 お米をおいしいままの状態で食べるためには、日常から虫除け対策をしておかなければなりません。こちらでは、効果的で自宅で簡単にできる対策を紹介します。 冷蔵庫で保管する 10kgなど大きなサイズのものの場合は難しいかもしれませんが、可能であれば複数の袋に分けるなどして冷蔵庫で保管するのがおすすめです。冷蔵庫は食品を冷やすために冷気を逃がさない仕組みになっており、害虫の侵入もしにくいというメリットがあります。また、気温15度以下、湿度20%以下の環境ではお米にわく害虫は生存することができず、繁殖もできません。低温での保管はお米の劣化を防ぐことにも有効です。...